住宅ローンを選ぶ際には、金利タイプを選ばなければなりません。
金利タイプは主に、変動金利型、全期間固定金利型、固定金利期間選択型の3タイプあります。
それぞれ特徴が異なりますので、メリットとデメリットを理解して、自分に合った金利タイプを選んで行きます。
金利タイプの特徴を理解しておかなければ、 後で困る可能性がありますので、しっかり理解しておきましょう。
もくじ
住宅ローンの金利タイプとその特徴
変動金利型の特徴とメリット・デメリット
変動金利型は返済期間中も金利が変動する金利タイプです。
月々の返済額は、「金利」「返済期間」「融資額」の3要素で決まりますので、金利が上昇すれば返済額は増加します。
将来の金利変動リスクを住宅ローン利用者が負うことになりますが、その分、当初の金利は低めに設定されています。
もし返済期間中ずっと金利が上昇しなければ、他の金利タイプと比べると、利息額は最も少なくて済みます。
また変動金利型は返済額が急激に増えないよう、「5年ルール」と「」1.25倍(125%)ルールを規定している金融機関がほとんどです。
「5年ルール」は金利上昇により返済額が増加したとしても実際の返済額を据え置き、返済額を増やすのは5年毎という規定です。
また「125%(1.25倍)ルール」は、5年毎に返済額を増やすにしても以前の返済額の1.25倍以内にする規定です。
これらの規定があるため、急激な返済額の上昇は抑制されています。
しかし本来なら払うべき利息を支払わないことになりますので、返済期間終了時に支払っていない利息分を一括で払わなければなりません。
なお、ソニー銀行や新生銀行などこのルールを適用していない金融機関もありますので、事前に確認しておきましょう。
固定金利期間選択型の特徴とメリット・デメリット
固定金利期間選択型は、借入当初から5年、10年など一定期間だけ固定金利型で、その期間終了後にもう一度、変動金利型か固定金利期間選択型を選ぶ金利タイプです。
金利を選ぶ際にはその時の金利が適用されますので、金利が上昇している状況であれば、返済額が増える可能性があります。
固定金利期間選択型の金利は、一般的に変動金利型よりも高く、全期間固定金利型より低く設定されますが、固定金利を適用する期間によっては変動金利型とほとんど変わらない低金利にしている金融機関もあります。
全期間固定金利型の特徴とメリット・デメリット
全期間固定金利型は、返済期間中の金利が一定となる金利タイプで、代表的な商品がフラット35です。
変動金利型とは違い、返済期間中の金利は変動しませんので、返済額は一定です。一般的に、教育費など他の支出を控えている人は、金利上昇で家計への影響のない全期間固定金利型が適しています。
金利上昇のリスクを金融機関が負うことになる分、変動金利型よりも金利は高めに設定されます。
金利タイプ | メリット | デメリット |
---|---|---|
変動金利型 | 借入当初は最も低い金利で借りられる | 金利上昇により返済額が増える可能性がある |
固定金利期間選択型 | 固定金利期間によっては変動金利型なみの金利で借りられる | 固定金利期間終了後、金利が上昇していれば、その時の金利が適用されるため返済額が増える可能性がある 全期間固定金利型 返済額が一定なので計画的に支出できる |
全期間固定金利型 | 返済額が一定なので計画的に支出できる | 他の金利タイプより金利が高いため、金利が上昇しなければ最も返済額が多くなる |
それぞれの金利タイプに向いている人と注意すべき点
それぞれの金利タイプの特徴やメリット・デメリットについて解説しましたが、それぞれどのような人に向いているか、注意点とともに考えてみましょう。
変動金利型に向いている人と注意すべき点
変動金利型は、借入時の金利が低いため、当初の返済額をおさえたい人、借入金額を増やしたい人向けです。
ただ「当初の返済額をおさえる」については、金利が上昇しないことが前提ですし、「借入金額を増やす」については、ムリな借り入れにつながりますので、注意が必要です。
金利上昇リスクをふまえた借り入れ方として、返済期間を短くする、借入額を減らすことを意識するといいでしょう。
借入後に一部繰上げ返済をすることで、返済期間を短くしたり、借入額を減らしたりすることもできます。
また金利上昇すれば借り換えにより固定金利型に切り替えることも考えられますが、そのタイミングは難しく、上昇傾向にあると思ったら下落して元の水準に戻ったり、少し上昇しただけでその水準で安定してしまったりすることもありますので、安易に借り換えだけに頼るのも危険です。
固定金利期間選択型に向いている人と注意すべき点
固定金利期間選択型は、5年や10年など一定期間、他の支出を抱えており、住宅ローンの返済額が増えてしまうと困る人に向いています。
固定金利の期間は2年~20年ほどと幅広く、2年~10年固定金利型の金利は低い傾向にあります。
都市銀行に比べネット銀行では選べる期間が少なく、10年固定金利型が中心となります。
注意点としては、固定金利期間選択型のデメリットでも解説しましたが、期間終了後の金利水準で返済額が決まりますので、金利が上昇していると返済額が増えてしまう点です。
全期間固定金利型に向いている人と注意すべき点
全期間固定金利型は、住宅ローン返済中に金利の変動を気にすることなく、他の支出等に集中したい人向けです。
返済額が一定ですので資金計画を立てやすく、金利の変動を確認する必要はありません。
もちろん、金利が下落傾向のときには借り換えのタイミングを計るために金利の動向を確認する必要はあります。
返済期間中の金利は変動しませんので、大きな注意点はありませんが、他の金利タイプと比べると借入金額は少なくなる一方、毎月の返済額は増えますので、返済できる金額かどうか十分検討する必要があります。
金利タイプ | 向いている人 | 注意点 |
---|---|---|
全期間固定金利型 | ・他に大きな支出を予定している人 ・返済額を固定したい人 | ・返済計画を立て、返済できる範囲内の融資額かどうかを検討すること |
固定金利期間選択型 | ・借入当初から一定期間の返済額を固定したい人 | ・固定金利期間終了後、金利タイプを選択しなければならないこと ・金利の上昇により返済額が増える可能性があること |
変動金利型 | ・当初の返済額をおさえたい人 ・借入金額を増やしたい人 | ・低い金利はずっと続くと約束されている訳ではないこと ・借り換えのタイミングは難しいこと |
金利上昇のリスクへの対応策
全期間固定金利型以外の金利タイプは金利上昇による返済額増加のリスクがあります。
変動金利型や固定金利期間選択型を希望している人は、あらかじめ対応策を検討した上で、選択するといいでしょう。
金利上昇時に一括返済することも対応策の一つですが、ここでは一部繰上げ返済による効果を紹介します。
定期的に一部繰上げ返済をすることで、住宅ローン残高を減らすことができます。
毎月の返済に追加して支払いますので、頻繁に一部繰上げ返済をするのは難しいですが、5年おき、10年おきの定期的な一部繰上げ返済を計画しておきます。
一部繰上げ返済には次の2通りの方法があります。
返済額軽減型
返済額軽減型は、一部繰上げ返済した資金を元金に充当し、毎月の返済額を減らす方式です。
返済期間は変わりませんが、毎月の返済額は減少しますので、一部繰上げ返済の金額によっては資金繰りに余裕が生まれます。
返済期間短縮型
返済期間短縮型は、一部繰上げ返済した資金を元金に充当し、返済期間を短くする方式です。
住宅ローンの返済が退職後も続く場合、一部繰上げ返済をすることで、退職前に完済できるよう調整することができます。
他の条件が同じなら、返済額軽減型よりも一部繰り上げ返済の効果は高くなります。
当初の金利が低いことだけで変動金利型や固定金利期間選択型を選んでしまうと、金利上昇したときの家計への影響が大きくなりますので、借入後の対応策も検討しておきましょう。
また、住宅ローン控除が借入当初から13年間適用できます。
この期間に一部繰り上げ返済を行うと住宅ローン控除の効果が少し減りますが、今後も安定した収入を得られるかなど考えた上で、住宅ローン控除を適用できる期間も一部繰り上げ返済をするかどうかの判断をしましょう。
変動金利型を選ぶ人が多い
住宅ローンの金利が上昇と下落を繰り返していれば変動金利型のリスクを認識しやすいですが、低金利が続いていることから、変動金利型を選びやすいと思います。
ただ金利は変動しますので、金利が上昇した場合の返済額を試算しておくなど、対応策も考え、家計への影響が小さくなるようにしておくと安心です。
上記の内容を参考に、どの金利タイプが適しているか検討してみてください。