住宅の建築を担うのは、主にハウスメーカーや工務店、ハウスビルダー、そして設計事務所があり、会社の規模や地域性などによって分けることができます。
それぞれの特徴を知ることで、自分たちに合う依頼先が見えてくるでしょう。
注文住宅を依頼する際の主な選択肢
1. 工務店
地域密着型の工務店は、地元の気候や土地環境に合った家づくりが得意です。
地域の信頼関係が強く、きめ細やかな対応が可能で、予算に合わせた柔軟なプランニングが期待できます。
特に地域に根差した伝統的な建材や工法を活用し、地元の生活習慣に合った家づくりができるのが大きな利点です。
2. ハウスビルダー(ハウスメーカー)
ハウスビルダーは全国展開する大手企業が多く、最新技術や標準化された高品質な工法を用いて、短期間での施工が可能です。
さらに、保証制度やアフターサービスが充実しているため、安心して長期間住める環境を提供できます。
標準化されたデザインや工法を持つため、コストパフォーマンスが良い点も特徴です。
3. 設計事務所
設計事務所や建築家への依頼は、デザイン性の高いこだわりの注文住宅を希望する場合に適しています。
建築家と直接やり取りをしながら、土地形状や生活スタイルに合わせた独自のデザインを反映できるのが大きな魅力です。
建物の細部にまでこだわりたい人や、個性的な家を求める方に向いていますが、設計や施工に時間がかかるケースもあります。
家を建てるときの土地探しのポイント
家を建てる際の土地探しは、長く快適に住むための大切なステップです。
特に重要なのが「土地と建物をセットで考える」「敷地の現状を調べる」「周辺環境を調べる」の3点です。
これらを考慮することで、理想的な住環境と家のプランを現実的に設計できます。
1. 土地と建物をセットで考える
理想の家を建てるには、まず土地と建物のバランスを意識することが必要です。
土地と建物を別々に考えると、建物の設計に無理が生じたり、予算をオーバーしたりする可能性があります。
例えば、土地の形状や面積が建物のデザインに影響を及ぼすことも多いため、セットで考えると建物プランも立てやすく、無駄のない配置が可能です。
家の広さや配置、日当たり、駐車場のスペースなども検討しやすくなり、土地選びの段階で家づくりの基本計画がある程度固まるでしょう。
また、総予算を把握しやすく、費用の配分も適切に調整できます。
2. 敷地の現状を調べる
次に、土地の現状や地質、法的条件についての確認が欠かせません。
地盤の強度や土地の傾斜、形状は、建築コストや耐震性に大きく影響を及ぼすため、調査を行うことが重要です。
特に、軟弱地盤や高低差のある土地では地盤改良が必要な場合があり、追加費用が発生することもあります。
さらに、建築基準法や都市計画法などの制限を確認し、建築できる構造や高さ、距離制限を理解しておくこともポイントです。
また、敷地に水道や電気、ガスなどのインフラが整っているか、確認しておきましょう。
インフラが整備されていない場合、引き込み工事が必要になるため、予算や工期に影響が出る可能性があります。
3. 周辺環境を調べる
周辺環境も、家を建てる際に見落とせない重要なポイントです。
まず、近隣に学校やスーパー、病院、公共交通機関などの生活に必要な施設が揃っているかを確認しましょう。
また、静かで過ごしやすい地域かどうか、周辺に大規模な商業施設や工場、交通量の多い道路など、騒音や振動のリスクがないかをチェックすることも大切です。
さらに、自治体による防災マップや洪水、地震リスクも参考にし、災害への備えができる場所かどうかを判断します。
日当たりや風通し、景観についても事前に確認することで、住みやすさに直結する環境が整います。
土地探しを「土地と建物のセットで考える」「敷地の現状を調べる」「周辺環境を調べる」の3つのポイントで行うことで、理想の家に近づけやすくなります。
家族が長く快適に住める土地を選ぶために、計画を立て、時間をかけてじっくりと検討することが大切です。
家を建てるときの建物のポイント
家を建てる際には、機能性と美しさの両方を満たすために「住宅性能」と「デザイン」の2つの視点から検討することが重要です。
以下、それぞれの観点から具体的なポイントを整理します。
住宅性能
住宅性能は、家の安全性や快適性、エネルギー効率を確保するために重要です。
1. 耐震性
地震が多い日本では耐震性が特に重要です。
建物が揺れに耐えられる「耐震構造」や、揺れを吸収する「制振装置」、地面と建物の間で揺れを逃がす「免震装置」などの対策があり、地域や予算に応じて選ぶことが可能です。
2. 断熱・気密性能
高い断熱性能を持つ住宅は、冬は暖かく、夏は涼しい室内環境を保つため、省エネルギーに貢献します。
気密性も高ければ外気の侵入が抑えられ、冷暖房効率が向上し、光熱費の節約や居住環境の快適さにつながります。
3. 耐久性とメンテナンス
太陽光発電システムや高効率給湯器など、エネルギー効率の高い設備を取り入れることで、環境に優しい住宅に仕上がります。ゼロエネルギー住宅(ZEH)を目指す方も増え、補助金の対象になることもあります。
4. 省エネ・エコ性能
住宅の耐久性も重要で、長持ちする材質や構造を選ぶことで、修繕の手間やコストを削減できます。また、定期的なメンテナンスが簡単に行える工夫があると、家を長く維持できます。
デザイン
1. 外観と一体感
家の外観デザインは周囲の環境や地域性にも合うようにしつつ、個性を演出するポイントです。
シンプルで統一感のあるデザインや、エクステリアとの調和がとれるよう工夫すると、美しい外観が長持ちします。
2. 間取りと機能性
家族構成や生活スタイルに合わせた間取りを設計することで、日々の動線がスムーズになり、家事や育児も楽になります。
また、ライフステージに合わせて変更ができる柔軟性のある間取りも重要です。
例えば、広めのリビングや、将来的に個室を増やせる設計は長く住み続けられる要素となります。
3. 内装デザインと快適性
室内の色合いや素材感も家の快適さに影響します。
例えば、木材を多く使用した温かみのあるデザインはリラックスでき、モダンなテイストを取り入れることでスタイリッシュな空間に仕上がります。
また、自然光の取り入れ方を工夫した設計は、空間を明るく保ちつつ電気代の節約にもつながります。
4. 収納と使いやすさ
収納スペースの配置も、デザインに合わせて計画することで機能的な空間が実現できます。
家族の持ち物や生活パターンに合わせた収納を各所に設け、空間をすっきり保てるように設計すると良いでしょう。
以上の「住宅性能」と「デザイン」の視点を組み合わせて家を建てることで、見た目の美しさだけでなく、長く住み続けやすい家づくりが可能となります。
家を建てるときに必要なお金とお得な制度など
建物の建築費や土地の購入費のほかにも、必要になるお金があるのをご存じですか。
家づくりをスタートする前に、必要な費用をしっかり把握しておきましょう。新築を対象にした補助金などの耳寄りな情報もまとめました。
家づくりにかかる費用は、大きく分けて、本体工事、付帯工事費、諸費用・その他費用となっています。
本体工事費
家づくりで必要になる、最も大きな金額が建物本体の工事費です。
建てる際の総費用の約70%が相場となり、仮設工事や基礎工事、木工事から、外装や内装の工事、窓やサッシ、ドアの取り付け、屋根や断熱材の施工、電線や水道管の配線・配管施工、空調工事、水まわり設備の設置などが含まれます。
付帯工事費
建物以外の工事等にかかる費用のことを「付帯工事費」といい、全体の約20%を占めます。
建て替えの場合の解体工事や地盤調査や改良工事、水道・ガスの引き込み工事、照明やカーテン、エアコンなどの購入・取り付け工事などが含まれます。
その他、庭や外構、駐車スペースなどの工事も該当します。大きく分けると以下のような費用に分けられます。
造成工事費用 | 形地・高低差がある土地・地盤が弱い土地に対して、家を建てるために費用な整備をするための費用 |
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基礎補強工事関連費用 | 軟弱な地盤を強くするための費用。地盤調査を行った後、地表面にセメントの材料を混ぜ合わせて固めるのにかかる費用など |
インテリア・ 電設工事関連費用 | インテリア関連/家具やカーテン、カーテンレールなどの新調にかかる費用 電設工事関連/エアコンの設置工事や照明器具の設置工事の費用など |
エクステリア工事関連費用 | 外構や庭をつくるための費用。フェンスやガレージなどの外構にかかる工事費用や庭の造園工事費用など |
まとめ
理想の家を実現するためには、専門家への相談が重要です。
家づくりは多岐にわたる要素を検討する必要があり、プロのアドバイスがあれば希望に合った土地や設計の選択、費用計画も明確になります。
建築家や住宅会社に早い段階で相談することで、住まいの完成イメージや予算配分、必要な手続きもスムーズに進められ、理想に近い家づくりが可能となります。