住宅ローンは物件が未確定でも仮審査を受けられるため、早めに資金計画を確認したい方には有用な選択肢です。
仮審査では、申請者の収入や負債状況を基に借入可能額の上限が審査されます。
この仮審査の通過により、具体的な物件探しを進めやすくなるほか、返済計画も立てやすくなります。
以下では、仮審査の具体的な流れや注意点、また申請に最適なタイミングについて詳しく説明します。
もくじ
住宅ローン仮審査とは
仮審査とは、購入する物件が決まる前に住宅ローンの借入可能額を確認するプロセスです。
この段階では、収入や職歴、既存の借入れなどの基本情報を基に、金融機関が返済能力を判断し、融資の上限を示します。
仮審査を受けることで、どの程度の物件が購入可能か、また月々の返済額がどれくらいになるかといった予算の目安を把握でき、物件探しの計画をスムーズに進められます。
仮審査はローン契約を確定するものではないため、審査を受けた後に他の金融機関と比較したり、条件を見直すことも可能です。
また、本審査が通らない場合もあるため、仮審査はあくまで資金計画の目安として利用しましょう。
仮審査の流れ
仮審査の申請は、金融機関や住宅ローン会社を通じて行われます。
一般的な流れを以下に示します。
仮審査を受けるには、所得証明書や現在の借入れ状況の確認が必要です。
一般的に、収入を証明する書類(給与明細、源泉徴収票、確定申告書など)を用意しておくとスムーズに進みます。
多くの金融機関では、インターネットを利用したオンライン仮審査が可能です。
申請時に収入や職歴、希望の借入額、現在の負債状況を入力し、金融機関が審査を行います。
金融機関は、申請者の返済能力を年収、職業、年齢、他のローンの返済状況を基に評価します。
この審査を通過すると、借入可能額や金利の適用条件が提示されます。
仮審査の結果は通常1週間程度で通知されます。
承認された場合、借入れの目安額が確定するため、物件探しの予算を具体的に設定しやすくなります。
仮審査を受けるタイミング
仮審査の最適なタイミングは、購入したい物件タイプや予算の目安が定まり始めた頃です。
仮審査の通過には一定期間の有効期限があるため、物件探しがすぐに進む見込みが立った段階で申請を行うと、スムーズに物件購入に進めます。
仮審査は通常1〜3ヶ月有効とされており、物件探しに時間がかかる場合には再申請が必要です。
仮審査を早めに通過することで、気に入った物件が見つかった際に迅速に購入手続きに移れるだけでなく、不動産業者からの信頼も得やすくなるため、交渉もスムーズになります。
仮審査を受けるメリット
仮審査を早期に受けることには以下のメリットがあります。
予算上限を早期に把握できる
仮審査を通過することで、購入可能な物件価格の上限が明確になります。
無理のない返済計画が立てやすくなり、物件探しも効率よく行えます。
住宅ローンの仮審査で見られる評価項目の例
「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」(国土交通省 住宅局)によると、審査の際に考慮する項目として以下が挙げられています。
完済時年齢(98.5%)
健康状態(96.6%)
借入時年齢(96.0%)
担保評価(98.2%)
年収(94.0%)
勤続年数(93.6%)
返済負担率(92.0%)
借入時年齢(97.8%)
担保評価(91.8%)
これらの9つの項目は9割以上の金融機関が考慮していると回答したことから、チェックされる可能性の高い要素と考えて良いでしょう。
年収や勤続年数、返済負担率などが挙げられていることから、住宅ローン借入後に安定して返済を続けていけるかどうかを審査していると考えられます。
また完済時年齢を考慮する金融機関が多いため、支払能力のあるうちに返済しきれるのかを判断していることが読み取れますし、健康状態については【フラット35】以外の多くの住宅ローンの利用において団信の加入が必須となっていることから、加入できる健康状態なのかを気にしているとわかります。
住宅ローンの仮審査時の主な必要書類
一般的に仮審査で必要となる書類は「本人確認書類」「収入を証明する書類」「担保となる物件についての書類」の3つです。
なお、インターネットで事前審査の申し込みが完結する金融機関の中には、書類の提出を不要にしているところもあります。
いずれにせよ詳細は金融機関ごとに異なるため、事前にどのような書類が必要なのか確認し、漏れのないようにしましょう。
仮審査の申し込みは3〜4社が適切
仮審査は就職活動と同じで、複数の金融機関に同時に申し込むことが可能です。少しでも有利と思われる住宅ローンを借りるためには、複数の金融機関仮審査を申し込むことが望まれます。
ただし、あまりに多くの仮審査申し込みをしてしまうと、先述通り、金融機関によっては審査にマイナスの影響を及ぼす恐れがあります。
仮審査に申し込む金融機関の数としては、3~4社が適切です。
ここで注意したいのが、複数の金融機関に仮審査してもらう場合は、日にちを開けずに一気に申し込むこと。
金融機関が申込者の個人情報を確認する際に、他行が照会した履歴が残るため、日にちが空いてしまうと不承認となった可能性が疑われてしまいます。
返済計画の策定が可能
月々の返済額が仮審査で提示されるため、ローンの負担を見積もりやすく、生活費や他の支出を含めた資金計画の目処を立てやすくなります。
購入の交渉がスムーズ
仮審査を通過していると、不動産業者や売主側からの信頼が得やすく、購入交渉や契約をスピーディに進められます。
注意点:仮審査と本審査の違い
仮審査は物件が確定していない段階での申請が可能で、あくまで申請者の収入や信用情報を基に行われますが、本審査ではさらに詳細な情報が確認されます。
具体的には、購入予定の物件の担保評価や年収証明の厳密な確認が含まれ、本審査の結果によっては仮審査の結果が覆される場合もあります。
仮審査に通ったからといって本審査が確定するわけではなく、収入変動や職場変更があると、審査が再評価される可能性があります。
そのため、仮審査から本審査までの間は、大きなライフイベント(転職など)や新たな借入を避けるのが望ましいとされています。
まとめ
仮審査は、住宅購入のための準備段階で資金計画を明確にし、安心して物件探しを進めるための重要なステップです。
物件が決まっていなくても早期に借入可能額を把握することで、購入する物件の範囲や返済計画を適切に設計できます。
住宅ローン仮審査を活用し、納得できる物件購入を進めていきましょう。