住宅ローンの利用先を決める際、心配な点は審査に通るかどうかではないでしょうか。
審査基準の詳細は公開されていませんので、収入面で基準ギリギリの場合、融資に条件が付く可能性があります。
場合によっては、審査に申し込んだすべての金融機関で通らないこともありますので、できれば事前に準備をしておきたいところです。
そこで、今回は、住宅金融支援機構(フラット35)と民間金融機関の審査基準を確認し、その違いや審査に通るための方法を紹介します。
もくじ
フラット35を取り扱う住宅金融支援機構とは?
住宅金融支援機構(フラット35)の審査基準(申込要件)は、住宅金融支援機構の公式サイトに公開されています。
取扱窓口は各金融機関になりますが、基本的にはこの基準をもとに審査しています。
住宅金融支援機構(フラット35)の主な審査基準をまとめます。
(1) 年齢
・申し込み時の年齢が満70歳未満の人
※日本国籍又は永住許可を受けている人、特別永住者
(2) 収入(総返済負担率)
・年収400万円未満 30%以下
・年収400万円以上 35%以下
住宅金融支援機構(フラット35)の場合、総返済負担率が主な基準となりますので、総返済負担率についての理解が必要です。
総返済負担率は年収に占める年間合計返済額の合計です。
たとえば年収600万円の人は、総返済負担率を35%以下にしなければなりません。
さらに、自動車ローンで月3.5万円を返済しているとすると、月14万円(17.5万円 ー 3.5万円)が上限となります。
そのほかに、「安定した収入があること」が基準となりますが、これは金融機関によって具体的な基準が異なります。
また総返済負担率は借入額の上限であり、余裕を持って返済できる金額とは限りません。
年収の30%や35%が返済に充てられるため、上限ギリギリで借りてしまうと返済が厳しくなる場合がありますので注意が必要です。
住宅金融支援機構(フラット35)では、一定の技術基準を満たす建物にしか利用することができません。
適合証明を取得している建物の場合はフラット35を利用することができます。
なお、新築と中古で技術水準が異なり、住宅性能の高い住宅であれば一定期間、引き下げられた金利が適用されます。
民間金融機関の審査基準
民間金融機関の審査基準は、金融機関によって異なります。
基準は異なりますが、審査で見る項目は同じようなものですので、各金融機関がどの点を重視するのか確認します。
(1) 健康状態(★)
(2) 借入時年齢(★)
(3) 完済時年齢(★)
(4) 担保評価
(5) 勤続年数(★)
(6) 年収(★)
(7) 連帯保証
(8) 返済負担率(★)
(9) 営業エリア
※「★」は人物評価
※(出所)国土交通省「平成30年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
住宅金融支援機構(フラット35)とは違い、民間金融機関は団信への加入が条件となっていますので、健康状態も審査の対象となります。
ただ最近の団信には、健康に不安がある人でも加入できる「ワイド団信」がありますので、健康状態だけで審査に通らない可能性は小さくなりました。
また担保評価が審査項目に挙がっていますが、新築住宅の場合、年収や勤続年数など人物評価で問題なければ審査に通る可能性は高いようです。
住宅金融支援機構(フラット35)と民間金融機関の審査の違い
住宅金融支援機構(フラット35)の審査基準のうち、住宅には技術検査があり、注文住宅を例にとると、「設計検査」「中間現場検査」「竣工現場検査」を経て、合格した場合にのみ適合証明書が交付されます。
また住宅金融支援機構(フラット35)でも団信を利用する場合には健康面での審査がありますが、団信の種類が増えていることから加入しやすくなっています。
このように住宅金融支援機構(フラット35)と民間金融機関の審査基準を見ると、住宅金融支援機構(フラット35)について、年収はもちろん重要ですが、住宅性能を重視しているのに対し、民間金融機関では健康状態や年齢、年収、勤続年数などの人物評価に重きを置いていることが分かります。
審査基準から考える、審査に通る方法
民間金融機関の場合、年収に見合う融資額になっているかどうか、安定した収入があるかどうか、最後まで返済できるかが審査の大部分を占めており、審査に通るポイントとなります。
すでに自動車ローンや教育ローンがある場合、総返済負担率の総返済額に含まれますので、可能であれば、一括返済して借入額を増やす方法があります。
審査の結果、「自動車ローンを返済すること」を条件とされる場合もあります。
キャッシュカードの未使用枠がある場合、その使用していない枠分の金額も総返済額に含まれることがありますので、事前に使わないキャッシュカードは解約しておくといいでしょう。
総返済負担率の基準はクリアしているにも関わらず、審査に通らないこともあります。
「安定した収入」を融資の条件としている金融機関がほとんどですので、転職や退職などで収入に変動があると審査に影響する可能性があります。
また過去10年以内に、クレジットカードやローンの滞納を続けたり、携帯電話本体の支払いを含む通話料の支払いを1ヶ月以上遅れてしまったりした場合には、信用情報に登録されている可能性もあります。
信用情報は、クレジットカードなどの利用状況などが信用機関に集められ、金融機関は審査をする際には信用情報を照会します。
一般的に金利が低いほど審査は厳しくなる
変動金利型を中心に、住宅ローンの金利は低金利が続いています。
ネット銀行を中心に金利を低く設定している金融機関は多いですが、金融機関の立場で考えると、滞納をせず完済してもらえれば、余分な回収コストがかからないため、金利を低くすることができます。
そのため、一般的には金利が低いほど審査は厳しくなると考えておいた方がいいでしょう。
特に金利の低い金融機関の審査に通らなかった場合、同じ金利の金融機関に審査の申し込みをしても同じ結果になる可能性があります。
この場合、金利は少し高くなるかもしれませんが、対面相談で時間をかけてくれる金融機関の方が審査に通る可能性は高くなります。
審査に通るよう事前準備を!
これから借入先を探す人は、融資額を決め、余裕のある返済負担率になっているか確認する必要があります。
住宅取得まで時間が取れる人は、クレジットカードや携帯電話の支払い状況を確認し、家計の見直しをしておくといいでしょう。