現在住宅ローンを借りているけれど「このまま返済し続けるので良いのかな?」と疑問を持った人は、借り換えを検討することもあるでしょう。
実は「借り換え」以外に、住宅ローンを借りている「銀行への交渉」という選択肢があることを知っていましたか?
本記事ではその方法などを紹介し、自分は「借り換え」と「銀行への交渉」のどちらが向いているのか?についても、詳しくご紹介します。
もくじ
住宅ローンの利率が下がると、こんなに得する
「借り換え」又は「銀行への交渉」の目的は、現在借りている住宅ローンの金利より低いものを契約し、支払い総額を減らすことだと言えます。
最初に契約した住宅ローンを借りっぱなしにし、ずっと支払い続けた場合、なんらかのアクションをしなかったことにより、結果として非常に損だったというケースも多いものです。
実際に利率が低くなるとどれくらい得をするかについて、下記に例を挙げて説明します。
借入金残高:2,000万円
返済期間:20年
金利:固定金利で年1.5%
毎月の返済額:100,000円
年間の返済額:1,200,000円
総返済額:24,000,000円
ここから、仮に金利が0.2%下がったとします。
「たった0.2%でしょ」と思う人もいるかもしれませんが、下記のように返済金額が変わります。
借入金残高:2,000万円
返済期間:20年
金利:固定金利で年1.3%
毎月の返済額:94,680円
年間の返済額:1,136,160円
総返済額:22,723,193円
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差額(毎月) -5,320円
差額(年間) -63,840円
差額(総返済額) -1,276,807円
この例の場合に、金利が0.2%下がるだけで、なんと総返済額が120万以上得になるのです。
毎月の返済額も5,000円以上変わりますし、決して馬鹿にならないハズです。
住宅ローンの「借り換え」と「銀行への交渉」について
先ほど例を挙げてシミュレーションしたので、金利が下がると返済金額が減ることは分かったでしょう。
これを踏まえ、住宅ローンの「借り換え」と「銀行への交渉」について、それぞれ詳しく説明します。
借り換え
借り換えは、現在住宅ローンを借りている銀行から、別の銀行の住宅ローンに乗り換えることを指します。
借り換えの流れ
1、 新たに住宅ローンを組みたい銀行に対し、事前審査(仮審査)の申し込みをする
事前審査(仮審査)には、下記などを提出する必要があります。
事前審査に通ると、次の本審査に進みます。
2、 本審査の申し込みをする
事前審査とは別に、下記などの必要書類を提出します。
本審査は銀行と保証会社が行うので、事前審査に受かっていても落ちる場合があります。
3、現在住宅ローンを借りている銀行に、一括繰り上げ返済の申し込みをする
本審査が受かったら、現在住宅ローンを借りている銀行に、一括繰り上げ返済を申し込みます。
4、契約を交わす
新たに住宅ローンを借りる銀行と、正式に契約を交わします。
その後、住宅ローンが融資実行され、以前借りていた銀行に「一括返済する金額」などが振り込まれます。
【 ポイント 】/strong>
借り換えのポイントは、下記の通りです。
銀行への交渉
銀行への交渉は、現在借りている銀行に対して、住宅ローンの金利を下げてもらえるように交渉することを指します。
【 銀行への交渉の流れ 】
銀行への交渉は、現在借りている銀行に対して、住宅ローンの金利を下げてもらえるように交渉することを指します。
銀行への交渉の流れ
1、 銀行の担当者に、金利の引き下げをお願いする
借り換えの場合には、必要書類の提出や審査などがありましたが、銀行への交渉の流れは「担当者に金利引き下げのお願いをする」だけで可能です。
但し交渉をするので、下記のような交渉材料を準備していると尚良いと言えます。
これを持参し「〇〇銀行では、金利△△%で仮審査が通過したので、これくらいに下げてもらえないでしょうか?」と交渉します。
実際に他銀行で仮審査を受けていないのに「低い金利で仮審査を通過した」とウソをつくのは、絶対にやめましょう。
相手はプロなので、ばれる可能性は多いにあり、信用を失うことになりかねません。
【 ポイント 】
銀行への交渉のポイントは、下記の通りです。
自分には「借り換え」と「銀行への交渉」のどちらが向いているか?
ここまで「借り換え」と「銀行への交渉」について、比較解説しましたが、自分にはどちらが向いているか気になる人もいるでしょう。
契約者の状況などにもよりますので、下記に詳しく解説します。
借り換えが向いている人
住宅ローンの借り換えが向いている人は、下記の通りです。
借りてから日が経っているが、まだ10年以上返済期間がある人
借り換えは、借りてから日が経っていないと、請け合ってもらえません。
日が経っていると言っても、返済期間が10年未満の場合には、借り換えてもあまり効果が無いと言われています。
このことから、借りてから1年以上経過し、且つ返済期間が10年以上ある人が向いていると言えます。
【手数料を考慮しても、大幅に返済金額が減る人】
借り換えをする場合には、一括返済時と借り換え時に手数料がかかります。
これらの手数料を考慮してでも、借り換えると大幅に返済金額が減る人は、借り換えが向いています。
【以前より、契約者の条件が良くなった】
借りた当初より、契約者の条件が良くなった場合には、条件の良い金利で借り入れできる可能性が高くなります。
例えば下記のようなケースでは、契約者の条件が良くなったと言えます。
【大企業に転職をした】
大企業に転職をすると、その分信用力が上がる傾向にあります。
また公務員などの、いわゆるお堅い系の職場への転職も、同様のことが言えます。
【契約社員から正社員になった】
パートよりも契約社員、契約社員よりも正社員の方が、信用力は高くなります。
雇用形態が良くなった場合は、審査でも有利になります。
【車や教育ローンの返済が終わった】
住宅ローンの契約をする時に、車や教育ローンなどの各種ローンは、マイナスポイントとなります。
ローン返済が終われば、マイナスポイントがクリアされたことになるので、審査条件がぐっと良くなります。
このような人は、条件の良い銀行を見つけて、借り換えることが向いていると言えます。
銀行への交渉が向いている人
銀行への交渉が向いている人は、下記の通りです。
借りてから日が経っていない
借りてから日が経っていないと、借り換えが難しい場合もあります。
借りてから1年弱くらいだけれども、金利を減らしたいという人は、一度銀行に交渉してみる価値があるでしょう。
借り換えだと返済金額が増えてしまう人
他銀行で仮審査が通り、実際に金利が減ったけれども、手数料を考慮するとトータル返済額が増えてしまう場合があります。
こういった人は、銀行への交渉が向いていると言えます。
クレジットカードや、投資信託などの申し込みに抵抗が無い人
銀行は、金利を低くしたら「利益が少なくなる」わけです。
このことから、交渉をされても簡単に低くしてくれないケースも多いです。
こういった時に「クレジットカードや、投資信託も申し込んでくれたら、金利を下げることが可能です」と言ってくる銀行もあります。
時にはカードローンの提案をされることもあるでしょう。
これらに抵抗が無い人は、銀行への交渉に向いていると言えます。
【交渉事が得意な人】
銀行への金利引き下げ交渉は、あくまで「交渉」なので、ちょっとしたテクニックも必要だと言えます。
単に自分の思いだけを伝えたり、脅すようなやり方では、成功するとは言えません。
相手のメリットも提案しつつ、自分の要求を受け入れてもらうのが「交渉」なので、こういった交渉事が得意な人に向いています。
「借り換え」も「銀行への交渉」も共通して意識すること
「借り換え」と「銀行への交渉」のいずれを選択するにしても、共通して意識することがあります。
それは下記の通りです。
クレジットカードやローンの支払いを滞らせない
最初に住宅ローンを契約する時に、クレジットカードや各種ローンの支払いについて、意識していた人も多いのではないでしょうか。
これは銀行への信用力を高めて、住宅ローンを融資してもらう為でした。
住宅ローンの借り換えや、銀行への交渉でも「信用力を高めること」は一緒なので、引き続きクレジットカードやローンの支払いには気を付けましょう。
手数料のカウントを忘れずに
「借り換え」も「銀行への交渉」も手数料がかかります。
金利が下がることだけに目を向けるのではなく、借り換えや銀行への交渉で金利が下がった場合に、いくら手数料がかかるかもカウントしましょう。
手数料も含めたトータル返済金額を見て、どうするかを判断しましょう。
まとめ
現在契約している住宅ローンの総返済額を減らすには、「借り換え」と「銀行への交渉」の2パターンがあることが分かりました。
それぞれ特徴がありますし、契約者の状況にもよるので、合った方法を選ぶようにしましょう。
金利が下がり、返済金額が減れば家計が助かりますし、その分のお金を他に回すことができます。
悩んだ場合には、プロに相談することをお勧めします。
ご家庭に合った方法で、賢く住宅ローンの返済金額を減らすことが、理想的だと言えます。