無事住宅ローンを借りることができたら、その後は完済に向けて毎月返済をします。
そのうちある程度のお金が貯まったら、毎月の返済の他に「繰り上げ返済」をする人もいるでしょう。
一方で繰り上げ返済をせずに「貯金」に回す人もいます。
そんな時に考えるのが、貯まったお金は「繰り上げ返済と貯金のどちらに回すべきか?」ではないでしょうか。
本記事では、住宅ローンの借り入れ後は「繰り上げ返済」と「貯金」のどちらを重視すべきかについて、詳しく解説いたします。
もくじ
- 1 住宅ローン借り入れ後の「繰り上げ返済」とは?
- 2 繰り上げ返済の種類について
- 3 繰り上げ返済すべき人と、貯金を優先すべき人の特徴
- 3.1 繰り上げ返済すべき人
- 3.1.1 子どもにお金をかけなくて良い人 下記のような人は、子どもにお金がかからない(もしくはかかっても少ない)と言えます。 ■子どもがいない人 ■子どもが既に社会人で、子ども自身が自分で生計を立てている ■進学は、将来的に子ども自身で支払う「奨学金」を利用する このような人は、基本的に子どもにお金を残す必要がない(もしくは少額を残せば良い)ので、まとまったお金が用意できたら、繰り上げ返済をしても良いでしょう。 65歳以降も住宅ローンの支払いがある人
- 3.1.2 退職金がしっかり出る人
- 3.1.3 個人事業主
- 3.1.4 将来もらえる年金額が少ない
- 3.1.5 現時点で貯蓄がしっかりある人
- 3.1.6 貯金を優先すべき人
- 3.2 子育て中で、これから子どもにお金がかかる人
- 3.1 繰り上げ返済すべき人
- 4 まとめ
住宅ローン借り入れ後の「繰り上げ返済」とは?
繰り上げ返済とは、ある程度のお金ができたら、毎月の返済とは別にローンの一部もしくは全部を返済することを言います。
また繰り上げ返済は、少しずつ返済することも可能ですが、まとめた額をガツンと返済することも可能です。
ただし返済する時に手数料がかかるので、何度も少しずつ返済を考えている人は、その点に注意が必要です。
そもそも住宅ローンの返済は、借入金額である元金だけを返すのではありません。
元金に対して発生する利息も一緒に返済するので、借入金額が多いほど利息は増えますが、逆に借入金額が少ないほど利息も減ると言えます。
繰り上げ返済の種類について
繰り上げ返済の方法は2つあり、下記のように分かれます。
■期間短縮型
■返済額軽減型
よく繰り上げ返済は「期間短縮型」を選ぶのが鉄則だということを聞きますが、そうとも限りません。
両者ともにメリット・デメリットがあるので、ライフスタイルや将来の希望によって、返済型を選ぶと良いと言えます。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」のそれぞれの特徴は、下記の通りです。
期間短縮型
繰り上げ返済をすることにより、残りの返済期間を短縮させる方法です。
毎月の返済金額は変わりません。
同じ金額を繰り上げ返済した場合に、返済額軽減型より「期間短縮型」を選ぶ方が、残りのトータル返済額が少なくなります。
下記のような人は、期間短縮型を選ぶと良いでしょう。
返済額軽減型
繰り上げ返済することにより、毎月の返済金額を少なくする方法です。
残りの返済期間については変わりません。
下記のような人は、返済額軽減型を選ぶと良いでしょう。
繰り上げ返済すべき人と、貯金を優先すべき人の特徴
まとまったお金が用意できた場合に、繰り上げ返済と貯金のどちらにするかについて、どちらが良いのかと迷う人もいるでしょう。
この場合には、自分が「繰り上げ返済すべき人」と「貯金を優先すべき人」のどちらに該当するかを考えると良いと言えます。
下記を参考にし、トータル的に考えて、自分がどちらに該当するかを考えると良いでしょう。
繰り上げ返済すべき人
繰り上げ返済すべき人の特徴は、下記の通りです。
子どもにお金をかけなくて良い人
下記のような人は、子どもにお金がかからない(もしくはかかっても少ない)と言えます。
■子どもがいない人
■子どもが既に社会人で、子ども自身が自分で生計を立てている
■進学は、将来的に子ども自身で支払う「奨学金」を利用する
このような人は、基本的に子どもにお金を残す必要がない(もしくは少額を残せば良い)ので、まとまったお金が用意できたら、繰り上げ返済をしても良いでしょう。
65歳以降も住宅ローンの支払いがある人
一般的な定年は65歳です。
つまり多くの人は、65歳を過ぎたら収入が不安定になるので、毎月住宅ローンを返済するのが苦しくなる可能性があると言えます。
このようにならない為に、65歳以降も住宅ローンを払うことになっている人は、繰り上げ返済をして、なおかつ「期間短縮型」を選ぶと良いでしょう。
退職金がしっかり出る人
定年退職をする時に、しっかりと退職金が出ることになっている人は、繰り上げ返済を優先しても良いでしょう。
ただし退職金が出ることになっていても、それまでに会社が倒産してしまったり、自身が転職をすると退職金がもらえない(もしくは、もらえても少額)こともあるので、こういったリスクは頭に入れておきましょう。
個人事業主
個人事業主の人は退職金が出ないので、健康なうちにしっかり働いて備える必要があります。
もし収入が無くなったり減った場合には、住宅ローンの支払いが厳しくなる可能性があるからです。
こうならない為に、まとまったお金が用意できたら、繰り上げ返済を行っておくと良いでしょう。
将来もらえる年金額が少ない
将来もらえる年金額は、今まで働いていた期間や、会社勤めか個人事業主かにより変わります。
一般的には働いていた期間が少なく、更に個人事業主である方が、将来もらえる年金額が少なくなります。
将来もらえる年金額が少ない人は、将来の固定収入が少ないので、住宅ローンの支払いを早めに終わらせておく必要があると言えます。
その為、まとまったお金ができたら繰り上げ返済を行い、かつ「期間短縮型」を選ぶと良いでしょう。
現時点で貯蓄がしっかりある人
現時点で貯蓄がしっかりある人は、そこから無理のない範囲で繰り上げ返済をすると良いでしょう。
時々「繰り上げ返済は得だから」と言って、まとまったお金が用意できたら、全てを返済に使ってしまう人がいますが、これはとてもリスキーな行為です。
人生において急にお金が必要になることは、誰にでもあると言えます。
例えば冠婚葬祭や、事故や病気などです。
また家具や家の設備が壊れて、急にお金が必要になることもあるでしょう。
このような時に手元にお金が無いと、誰かにお金を借りることになったり、最悪の場合には他のローンを借りるなんてことにもなりかねません。
繰り上げ返済をする場合には、手元にもお金を残しておきましょう。
貯金を優先すべき人
貯金を優先すべき人の特徴は、下記の通りです。
子育て中で、これから子供にお金がかかる人
65歳までに住宅ローンが払い終わる人
退職金がきちんともらえるか分からない人
将来もらえる年金額が多い人
現時点で貯蓄が少ない(もしくは無い)人
子育て中で、これから子どもにお金がかかる人
子育て中で、これからどんどん子供にお金がかかるという人は、繰り上げ返済よりも貯金を優先すべきだと言えます。
進学するにつれてお金がかかりますし、学習塾や習い事に通わせたり、部活動などで突発的にお金が必要になることもあるでしょう。
もし繰り上げ返済を優先し手元にお金が無いことになると、場合によっては教育ローンを借りることにもなります。
状況によっては教育ローンも借りられないことがある
ので、注意が必要です。
65歳までに住宅ローンが払い終わる人
65歳までに住宅ローンが払い終わる人は、定期的な収入が無くなる定年前までに、住宅ローンを払い終えることになります。
その為、無理に繰り上げ返済をして、払込期間を短縮する必要は無いと言えます。
65歳までに住宅ローンが払い終わる人は、まず貯金を優先すると良いでしょう。
ある程度貯まったら、そこから無理のない範囲で繰り上げ返済をすると良いでしょう。
退職金がきちんともらえるか分からない人
下記のような人は、退職金がきちんともらえるか分からない人だと言えます。
■勤続年数は同じくらいでも「退職金をもらえた人」もいれば「退職金をもらえなかった人」もいる
■会社の業績が悪化している
このような人は、退職金が出ないことを前提に行動すべきだと言えます。
退職金がもらえるか不確実な状態で「繰り上げ返済」を優先させると、実際にもらえなかった場合に、貯蓄が無いだけではなく、住宅ローンの支払いも困難になる可能性があります。
将来もらえる年金額が多い人
会社員として長年働き、年収も多い人は、将来もらえる年金額が多いと言えます。
実際にどれくらいもらえるかは、年金定期便に記載されている数字を確認したり、インターネットの年金シミュレーターなどで確認することができます。
将来もらえる年金額が多い人は、老後の定期的な収入があるとみなせるので、住宅ローンの繰り上げ返済を行っても良いと言えるでしょう。
また公的年金ではなくても、自分で個人年金保険やiDeCoなどを利用して、年金を用意している場合も同様です。
現時点で貯蓄が少ない(もしくは無い)人
現時点で貯蓄が少ない(もしくは無い)人は、繰り上げ返済をする前に、まずは貯金を優先しましょう。
どんな状況の人でも、手元にいくらかお金を残しておくことは必須です。
人生には突発的にお金が必要になることが必ずあります。
そんな時に手元に全くお金が残っていないと、焦って行動をしがちです。
繰り上げ返済はお得ではありますが、手元に貯蓄が全くない人が、ちょっとお金が用意できたからと「繰り上げ返済」をすることはオススメできません。
また貯蓄が無い人は、住宅ローンの繰り上げ返済をする前に、現状の家計の見直しも必要だと言えます。
まとめ
お金ができた場合に「繰り上げ返済」と「貯金」のどちらを行うべきかについては、状況によることが分かりました。
また繰り上げ返済を選んだ場合には、「期間短縮型」を選ぶのが、数字的にみると一番お得なことも分かりました。
しかしその言葉だけを見て行動すると、痛い目を見る可能性があるので、自分の状況をよく考えて判断すると良いでしょう。