住宅ローンを借りると様々な諸費用がかかりますが、この中に「融資手数料」や「保証料」というものがあります。
基本的にこの2つの諸費用は、両方とも請求されるものではなく、選んだ住宅ローンによってどちらか一方が請求されます。
このことから住宅ローンを分ける際に「融資手数料型」と「保証料型」に分類されることがあります。
この2つは、どちらを選ぶ方がお得なのかと気になる人もいるでしょう。
本記事では、住宅ローンを選ぶ際に「融資手数料型」と「保証料型」のどちらを選ぶ方がお得かについて、詳しく解説いたします。
もくじ
融資手数料と保証料って何?違いは?
そもそも住宅ローンの融資手数料と保証料は何か?というと、下記の通りです。
住宅ローンを融資してもらう際に、金融機関に支払う手数料のことです。
借入金額によって手数料が変わる定率型と、借入金額がいくらでも手数料が同じである定額型があります。
定率型の場合には、融資金額に対して2.0%とか3.0%などと計算されるので、融資金額が多くなると、その分融資手数料も多くなります。
借入金額:3,000万円
融資手数料が2.0% ▶︎ 60万円。
融資手数料が3.0% ▶︎ 90万円。
定額型の場合は、融資金額にかかわらず10万円前後のことが多いですが、その分定率型よりも金利が高めに設定されている傾向にあります。
【保証料】
保証会社に「保証人」になってもらうので、その際に必要な保証料のことです。
基本的に借入金額が多くなると、保証料もその分高くなります。
また住宅ローンの「融資手数料型」と「保証料型」の違いは、下記の通りです。
融資手数料型
住宅ローン契約時に融資手数料がかかりますが、保証料はかかりません。
万が一滞納をした場合には、金融機関から直接督促があります。
保証料型
住宅ローン契約時に保証料はかかりますが、融資手数料はかかりません。
万が一滞納があった場合には、保証会社から金融機関に弁済をするので、金融機関は貸し倒れを防ぐことができます。
また滞納をした契約者には、金融機関ではなく保証会社から督促が入ることになります。
融資手数料型で有名なものはフラット35!ネット専用の住宅ローンにも多い
一般的なメガバンクや地方銀行の住宅ローンは、基本的に保証料型のものが多いです。
一方融資手数料型の住宅ローンには、有名なものとして(※)フラット35があります。
また店舗ではなくネット上で契約が完結する「金融機関のネット専門の住宅ローン」も、融資手数料型のものが多いです。
そもそも「融資手数料型」の住宅ローンは、ネット銀行から始まったものであり、ネット銀行の低金利商品に勝負する為に作られたものです。
※フラット35とは?
住宅金融支援機構と、各金融機関で一緒に作った長期固定金利の住宅ローンのことです。
https://plusbon.co.jp/column/202/
融資手数料型は保証料が無いけれど、一概に得だとは言えない
融資手数料型の住宅ローンには保証料がつかないので、得だと思うかもしれませんが、一概にそうだとは言えません。
何故かというと、融資手数料自体が保証料よりも多い場合もあるからです。
つまり、手数料や金利などを考慮しながらトータル金額をシミュレーションしないと、融資手数料型と保証料型を比較した際に、どちらが得だとは言えないのです。
比較する際には、下記をポイントにすると良いでしょう。
①住宅ローンの商品種類について
冒頭で、住宅ローンは大まかに「融資手数料型」と「保証料型」に分けられると言いましたが、更に保証料型は2つのタイプに分かれます。
その為、下記3つに分けて考えてみると良いでしょう。
保証料はかからないが、融資手数料がかかる
住宅ローン契約時に、現金一括で保証料を支払います。
その為、最初にこの分の現金を用意する必要がありますが、トータルの費用は保証料金利上乗せ型(内枠方式)より安く抑えることができます。
また一括返済や繰り上げ返済をすると、その時点に応じた一定額の保証料が返ってきます。
これを「戻し手数料」と言います。
住宅ローン契約時に一括で保証料を払わない代わりに、借りるお金に対して金利を上乗せして、保証金を支払っていきます。
途中で一括返済や繰り上げ返済をしても、保証料が戻ってくることはありませんが、保証料一括前払い型より初期費用を安く抑えることが可能です。
その代わり、保証料一括前払い型(外枠方式)よりトータルの費用は多くなります。
②金利を考慮した総返済額はいくらか?
「融資手数料型」も「保証料型」の住宅ローンも、必ず金利がついてきますが、それぞれ設定金利は異なります。
融資してもらう金額に対して、それぞれの金利で総返済額はいくらであるかを計算し、比較します。
③諸費用の合計額はいくらか?
融資手数料や保証料の他にも、住宅ローンを契約する際に、下記などの各種諸費用が発生します。
これらの諸費用を全て合計してみます。
②と③を合計した金額が最も少ない住宅ローンが、金額的には最も得だと言えます。
しかし合計金額が最も少ない住宅ローンの場合、最初に現金を多く用意する必要がありますが、厳しいので初期費用が少なくて済む別のローンを選択することもあるでしょう。
また、融資手数料型の場合には融資額が希望額に満たなかったので、保証料型から選ぶことにした人もいるでしょう。
このように自分の状況にとって、一番得な住宅ローンを選ぶのが良いと言えるでしょう。
融資手数料型と保証料型のメリット・デメリットについて
資手数料型と保証料型のメリット・デメリットについては、下記の通りです。
融資手数料型のメリット
保証料型よりも金利が低いことがメリットだと言えます。
融資手数料型は手数料を現金で支払うので、住宅ローンに金利を上乗せすることが無く、金利が低くなる傾向にあるのです。
また融資手数料型の住宅ローンは、実店舗を持たないネット銀行で実施していることが多く、場所代や人件費を削減できることも金利を低くできる要因の1つです。
融資手数料型のデメリット
融資手数料は現金で支払うので、この分を現金で用意することがデメリットだと言えます。
また途中で繰り上げ返済や一括返済をしても、融資手数料が戻ってくることがないことも、デメリットだと言えます。
保証料型のメリット
保証料金利上乗せ型の場合には、住宅ローンに金利を上乗せという形で支払いができるので、最初に多くの資金を用意しなくて済む点がメリットだと言えます。
また保証料一括前払い型の場合には、途中で繰り上げ返済や一括返済をすると、一定の金額が戻ってくる点もメリットだと言えるでしょう。
保証料型のデメリット
金利が高くなることがデメリットだと言えます。
保証料金利上乗せ型を選んだ場合には、途中で繰り上げ返済や一括返済を行っても、保証料が戻ってこないこともデメリットだと言えます。
融資手数料型と保証料型について、それぞれ向いている人とは?
住宅ローンの融資手数料型と保証料について、どのような人が向いているのかについて、下記にまとめました。
融資手数料型が向いている人
融資手数料型が向いている人は、下記の通りです。
現金をある程度用意することが可能
住宅ローンを借りる際には、物件を購入する為に、最初に手付金としての頭金(※)が必要になります。
これを支払っても、更に現金を用意することが可能な人は、融資手数料型に向いていると言えます。
融資手数料は最初に現金で払う必要があるからです。
「頭金ゼロ円で住宅ローンを組むことが可能」などという言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。
しかし本当に手持ち資金を用意しなくて良いかというと、そうではありません。
後で戻してもらうことも可能ですが、必ず手付金というお金が必要になります。
毎月の返済額を少なく抑えたい
融資手数料型は、保証料型より金利が少ないことが一般的です。
その為、同じ金額を借り入れた場合には、融資手数料型のトータル返済金額の方が少なくなる傾向にあります。
当然、毎月の返済額も少なく抑えることが可能です。
途中で繰り上げ返済をすることを考えていない
長期間に渡って住宅ローンを返済する予定の人には、融資手数料型が向いていると言えます。
金利が低いこともそうですし、途中で繰り上げ返済をしても、保証料型のように一定の手数料が戻ることはないからです。
保証料型が向いている人
保証料型が向いている人は、下記の通りです。
保証料はローンの中に組み込むことができます。
融資手数料型の場合には、手数料を最初に現金で支払う必要があるので、現金を持ち出したくない人には、保証料型の方が向いていると言えます。
途中で繰り上げ返済や一括返済をする可能性がある
保証料型の中でも、保証料一括前払い型を選んだ場合には、途中で繰り上げ返済や一括返済をすると、一定の保証料が戻ってきます。
このことから、繰り上げ返済や一括返済をする可能性がある人は、保証料型が向いていると言えます。
まとめ
住宅ローンには「融資手数料型」と「保証料型」の2つがあることが分かりました。
トータル金額は融資手数料型の方がかからない傾向にありますが、どちらが得かは、各自の状況や考え方によると言えます。
そうは言っても、素人には判断が難しい場合もあると思うので、迷った場合には専門家にサポートしてもらうと良いでしょう。
住宅ローンは高額な商品なので、きちんと考えたうえで、自分にとって一番良いものを選べると良いですね。