住宅ローン審査において、ほとんどの人は「希望金額での審査通過」を望んでいるハズです。
しかし実際には、審査自体は通過したけれども「希望より少ない金額なら融資OK」という回答が返ってくることも多々あり、こういった事態は避けたいところです。
本記事では、住宅ローン審査を「希望金額」で通過する為に、準備しておくべきことを詳しく解説いたします。
もくじ
融資額が希望以下の場合、家を変えない可能性がある
審査通過自体はできても、融資額が希望金額に満たない場合には、下記のようなことを考える人もいるでしょう。
希望金額に少しだけ満たない場合
・貯金の切り崩しや、親に借りるなどの方法で、自己資金を予定より多く用意する
・家のオプションを減らしたり、購入予定の家具のグレードを下げるなどで、金額調整をする
希望金額にはるかに満たない場合
・建売住宅やマンションの場合、今すぐ欲しい物件があってもあきらめる
・注文住宅の場合、建てる場所や家のグレードを下げる
・新築で購入したかったけれど、中古物件に切り替える
・資金が貯まるまで、家の購入自体を我慢する
これらは全て「当初の希望をあきらめ、我慢すること」だと言えます。
それは悔しいですし、人生で1番高い買い物とも言われる「マイホーム購入の夢」は、できるだけ希望に沿って叶えたいものです。
希望金額より低くなる「減額承認」の原因とは?
住宅ローン審査には通過したものの、融資可能額が希望より低くなることを「減額承認」と言います。
例えば3,000万円を希望したけれども「2,800万円までなら融資可能」と言われることを指します。
減額承認の主な原因については、下記の通りです。
申込者の属性が足りない
申込者の属性とは下記などを指します。
年収が多い方が、融資金額は高くなります。
■雇用形態
社員だと融資金額が高く、契約社員や派遣社員だと低くなり、アルバイトだと審査すらしてもらえないこともあります。
■勤続年数
同じ職場に長く勤めているほど「信用度」が増すので、融資金額も高くなります。
■勤務先の業種や規模
公務員などの安定した業種や、規模が大きい会社で働いているほど、融資金額は高くなる傾向があります。
■年齢
若い方が、健康で長い間お金を稼げると判断されるので、融資金額は高くなります。
住宅ローンの審査では、これらの属性を総合的に見て、支払い能力を判断します。
希望金額に対して支払い能力が満たないと判断されると、減額承認されます。
クレジットカードやローンの状況
住宅ローン審査の際には、クレジットカードやローンについて、現在と過去の利用状況をチェックされます。
もし「60日以上の滞納」や「破産」などの事実が発覚すれば、本人の属性がどうであれ審査自体に通ることができません。
一方で、減額でも承認されたということは、こういった事故は無かったということなので、これ以外のことが原因で減額されたということになります。
例えば、カーローンや奨学金など、他のローンを組んでいれば、その分を考慮して減額されます。
また、クレジットカードにキャッシング枠がついていれば、使用の可否に関わらず、キャッシング枠の金額に応じて減額されます。
将来的にキャッシング枠を使い、借金をする可能性があるとみなされるからです。
家の担保価値が低い
担保とは、万が一契約者が住宅ローンの返済をできなくなった場合に、それを補う対象のことを指します。
住宅ローン審査で言えば、その対象は「購入予定の家」ということになります。
もしもの際には、金融業者がその家を売るので、高く売れそうな家の方が「融資額を増やしても良い」と判断されます。
逆に家の担保価値が低いとみなされると、減額承認されることがあります。
希望金額で融資してもらうために、準備しておくべきこと7つ
住宅ローン審査で希望金額が通らなかった場合に、期間を空けてから、再度同じ金融機関に挑戦しようと考える人もいるでしょう。
しかしそういったケースでは、最初よりも厳しめに審査されることが一般的です。
このようなことからも、最初から希望金額を融資してもらうために、あらかじめ準備をしておくことが大切だと言えます。
下記に準備しておくことを7つご紹介します。
①各種ローンをできる限り返済する
住宅ローンの融資金額は、金融機関ごとに設定された「返済負担率」で決まります。
返済負担率は、契約者の年収に対して、各種ローンの合計額が何パーセントを占めるかというものです。
例えばA銀行では、年収400万円の人が融資金額3,000万円を希望する場合、返済負担率は30%までと決められていたりします。
この場合には、400万円×30%=120万円ということで、年間のローン支払い額が120万円を下回る必要があります。
支払額には住宅ローンも含まれるので、その他のローン借入額を返済し、残債を減らすことができると、住宅ローン融資金額の増加につながります。
その他のローンは下記などがあり、中には組んだことすら忘れているようなものもあるでしょう。
■奨学金
■カードローン
■楽器のローン
■家電のローン
■ブライダルローン
また一括返済した場合は良いのですが、一部を繰り上げ返済した場合には、毎月の支払い額が少なくなるように設定しましょう。
返済負担率は、毎月の返済金額を見て判断されるからです。
繰り上げ返済で返済期間が短くなっても、毎月の返済金額が変わらない場合には、住宅ローン融資額の増加につながりにくいと言えます。
②クレジットカードを整理する
クレジットカードにはショッピング枠の他に、キャッシング枠がついていることが多いです。
これはクレジットカードを使って「借りることができるお金」のことであり、限度額が設けられています。
キャッシング枠を一度も使用したことがなくても、この枠がついているというだけで、住宅ローン審査には影響があります。
何故かというと、キャッシング枠がついているので、「最大〇〇円分の借金をする可能性がある」とみなされるからです。
多くのクレジットカードを持っている人が、それらのキャッシング枠を合計すると、数百万になっていることもあります。
使わないクレジットカードがあれば、事前に解約すると良いでしょう。
③収入合算をする
契約者以外の第三者の収入を合算し、融資金額を増やす方法があります。
基本的には、配偶者と収入合算することが多いでしょう。
しかし配偶者が無職だと金額が増えないこともありますし、契約者には問題がなくても、配偶者に滞納や破産の過去があると、審査自体に落ちてしまうこともあります。
こういった場合には、親と収入合算する方法もあります。
但し親と同居することが条件なので、注意が必要です。
④ボーナス払いを設定する
会社員でボーナスが支給される場合には、ボーナス払いを設定すると、融資金額を増やすことが可能です。
この設定をすると、年2回のボーナス時期の支払い額が、他の月に比べて多くなります。
但し、業績悪化でボーナスがカットされることもありますし、会社員という身分ではなくなることもあります。
そういった時のことも考え、万が一のことがあっても「きちんと払える範囲」で、ボーナス払いの金額を設定すると良いと言えます。
⑤借入期間を長くする
借入期間が長くなるということは、返済する期間も長くなるということです。
こうすることにより、毎月の返済金額が低くなり、返済負担率も少なくなります
それに伴い、融資金額が多くなるのです。
借入期間が長いのは嫌だなと思う人は、実際に返済がはじまってから「期間短縮型」の繰り上げ返済を行うと良いでしょう。
住宅ローンの繰り上げ返済には、返済期間を短くする「期間短縮型」と、毎月の返済金額を少なくする「返済額軽減型」があります。
「期間短縮型」を選択することにより、毎月の返済額は同じですが、返済期間が短くなります。
⑥不動産の担保評価が高そうな物件を選ぶ
もし購入予定の家やマンションで、同じ位の購入金額でどちらにしようかと迷った場合には、不動産の担保評価が高そうな物件を選ぶと良いでしょう。
何故かというと、不動産の担保評価が高い方が、住宅ローンの融資金額は高くなる傾向にあるからです。
万が一契約者の支払いが困難になった場合に、金融機関はその不動産を売却することになります。
その為、できるだけ高く売れそうな物件の方が好まれるので、融資金額も高くなります。
⑦頭金を増やす
住宅ローンの融資金額が少なければ「頭金を増やすという選択肢は、当たり前だ」という意見もあるかもしれません。
もちろん「頭金を増やす」ということは、そういった意味合いもあります。
しかし、もう1つの側面も持っています。
それは「>頭金を多く払えるということは、信用に比例する」ということです。
自分が住宅ローンを融資する立場だった場合に、頭金を払えないと言っている人と、100万円を用意すると言っている人がいたとします。
前者に対しては「貯金もなく、日々苦しいのかもしれない。きちんとローンを返済してくれるのかな?」と心配になるのではないでしょうか?
後者の100万円を用意できると言っている人の方が、計画性がありそうで、ローンもきちんと返済してくれそうだという印象を持つものです。
金融機関はリスクを嫌うので、信用できる人に多くの金額を融資してくれる傾向にあります。
まとめ
住宅ローン審査を「希望金額」で通過するには、準備も必要なことが分かりました。
但し、なんとか希望金額で借入ができても、無理をしながら月々の返済をするのであれば、「何の為に購入をしたのだろう?」ということになりかねません。
夢のマイホームが、地獄に代わっては意味がありませんよね。
返済する時のことも踏まえながら、希望金額での審査通過ができるように、本記事を参考にしていただけたら幸いです。