働くスタイルが多様化し、正社員という枠にとらわれない「フリーター」は、今や働き方の1つとして定着しています。
フリーターが家庭を持つことも珍しくなく、社員以上にしっかりと稼ぐ人も存在します。
しかし家の購入で「住宅ローン」を申し込む際には、壁があると言っても過言ではありません。
本記事では、フリーターに対する住宅ローン審査の「現状」や「審査通過の為の方法」などについて、詳しく解説いたします。
もくじ
フリーターは会社員より住宅ローン審査が厳しいのは事実
たとえ同じ収入があったとしても、会社員よりフリーターの方が、住宅ローン審査に通りにくいことは事実です。
理由は下記の通りです。
収入が不安定だとみなされる
会社員であれば、不慮のケガや病気の際には有給を使用することが可能で、条件が合致すると傷病手当金も支給されます。
自ら退職を申し出ない限り、収入が急に途切れるということはありません。
その一方で、フリーターはコンスタントに稼げていたとしても、ケガや病気をするとその時点から収入が途切えてしまいます。
このことから、フリーターは収入が不安定だとみなされ、会社員より返済能力が低いと判断されます。
「長期間の返済に対応できない」と思われる
住宅ローンは、車や家電のローン等とは異なり、長期に渡って返済するものです。
長い人は30年以上も返済し続けることになります。
今はフリーターとして稼げていても、この先の将来について考えると、いつ何が起こるか分かりません。
ケガや病気で働けなくなることはもちろん、世の中の動向が影響し、仕事がパッタリと無くなることだってあり得ます。
このことから「長期間に渡る返済に対応できないのでは?」と思われる傾向にあります。
信用度が低い
会社員でも周囲からの信用度が低い人は存在しますし、逆にフリーターですが周囲からの信用度は抜群だという人もいるでしょう。
しかし住宅ローン審査の際には、「正社員は正社員」「フリーターはフリーター」としてのカテゴリーでまとめて判断されることが一般的です。
更に「正社員」は信用度が高く、「フリーター」は信用度が低いものとして扱われます。
フリーターは仕事が嫌だと思えばすぐ辞めることができますし、ある日突然収入が途絶える可能性も高いからです。
ここまで「フリーターが住宅ローン審査に通過することは、正社員より厳しいという現実」をお伝えしましたが、だからといってがっかりする必要はありません。
これらの状況を受け止め、それを踏まえた上での対策を練り、きちんと行動すれば良いだけの話です。
実際に筆者の周囲でも、フリーターで家庭を持ち、住宅ローンを組んで家を購入した人も数名います。
住宅ローン審査通過のために、必要な方法について
住宅ローン審査は、会社員でも落ちる人は多数存在します。
ましてやフリーターの審査事情は会社員よりも厳しいので、審査通過率を上げる方法について、きちんと把握しておくことが必要になります。
その方法は下記の通りです。
フリーターでも挑戦しやすい金融機関を選ぶ
どこかに引っかかれば良いからと、片っ端から金融機関に「住宅ローンの申し込み」をすることは、オススメしません。
フリーターでも挑戦しやすい金融機関に的を絞り、そこに応募することをオススメします。
理由は2つあります。
理由①:効率が良い
どんなに年収があって信用できる人だとしても、フリーターだという理由だけで、審査対象外にするという金融機関は多く存在します。
そういったところに応募をすることは、非効率的という以前に、時間がかかるだけでムダだと言えます。
住宅ローンの申し込みをする際には、フリーターも審査対象にしていたり、通りやすいと言われている金融機関に申し込むと、効率よく行動することができます。
一般的には、誰もが知っているような全国展開しているメガバンクより、地域密着型の地方銀行などの方が、フリーターの申し込みに寛容な傾向があります。
理由②:信用情報の「開示請求履歴」に影響がある
住宅ローンの申し込みを受けた金融機関は、必ず申込者の信用情報について、専門機関に開示請求します。
信用情報には、下記などが載っています。
■キャッシングや消費者金融の利用歴
■自己破産や債務整理の有無
国内にはCICやJICCなどの「個人の信用情報を保持している専門機関」があり、誰でも開示請求をすることが可能ですが、開示履歴も確認可能なので注意が必要です。
例えばA銀行が開示請求をすると、いつ開示請求したかが「開示請求履歴」として掲載されます。
次にB銀行が開示請求をすると、過去にA銀行が開示請求をしたという履歴を目にすることになります。
多数の銀行に住宅ローンの申し込みをすると、開示請求履歴にたくさんの銀行名が載るので「こんなに申し込みをしているのに通過しないなんて、この人には問題があるのではないか?」と思われる可能性があります。
フリーターでも挑戦しやすい金融機関に的を絞って応募すると、開示請求履歴に掲載される銀行名も少なくなるので、各金融機関への印象も良くなります。
フラット35
様々な金融機関で「住宅ローン」を扱っていますが、フリーターなどの非正規雇用でも借りやすいと言われる【フラット35】に挑戦することもオススメです。
正確に言うと、フラット35は「金融機関と住宅金融支援機構が一緒に作った住宅ローン」です。
つまり「A銀行のフラット35」や「B銀行のフラット35」など、金融機関ごとのフラット35が存在します。
フラット35の特徴
フラット35にはいくつか特徴がありますが、下記に2つほどご紹介します。
① 固定金利
金融機関の住宅ローンは「固定金利」でも設定可能ですが、かなり高い金利額になるので、「変動金利」を選ぶ人が多いです。
しかし変動金利は、世の中の動きによっては、将来的に金利が上がる可能性も秘めています。
その点、フラット35は固定金利のみなので、将来の金利の心配をする必要はなくなります。
また金融機関の住宅ローンの固定金利額より、手ごろな利率になっています。
② 融資額は最大でも「物件購入額の9割」まで
金融機関の住宅ローンは、最大で「物件購入額+諸経費」まで融資してもらうことが可能です。
一方フラット35の融資額は、最大でも物件購入額の9割までとなります。
仮に物件購入額が3,000万円だとすると、融資してもらえる最大金額は「3,000万円×9割=2,700万円」となります。
その為、物件購入額3,000万円から融資額2,700円を差し引いた「300万円分」は、自己資金として用意する必要があります。
フラット35がフリーターに向く理由
フラット35がフリーターに向く理由は、下記の通りです。
① あらゆる雇用形態の人が利用できる
フラット35には「社員でないと利用できない」などの縛りがないので、フリーターでも申し込み可能です。
実際に、アルバイトや個人事業主で審査通過した人も多く存在します。
② 返済比率を重視する
返済比率は返済負担率のことで、年収に対しての、車のローンやカードローンなどのローン合計額の比率のことを指します。
このことから、無茶なローンなどを組まずに堅実に生活しているフリーターにとっては、フラット35を使うことによって、住宅ローンを申し込める確率は高くなると言えます。
例えば年収300万円でローン合計額が60万円であれば、60万円÷300万円×100=20%が返済比率となります。
フラット35では、下記のように返済比率基準を設けているので、これを下回るように努力すると良いでしょう。
■年収400万円以上…35%以下
住宅ローンのコンサルタントに相談する
住宅ローンの審査は、「フリーターでも挑戦しやすい金融機関を選ぶ」の項目でも解説した通り、片っ端から応募することはオススメしません。
信用情報の開示請求履歴によって、審査が通りづらくなっては意味がないからです。
その為には、ある程度的を絞って挑戦する必要があります。
自分で一から調べた場合、時間がかかりますし、業界の人しか知らない内容には触れることができません。
その点、住宅ローンのコンサルタントなどのプロに相談すれば、フリーターでも住宅ローン審査を通過する為のアドバイスを受けることが可能です。
勤続年数と信用情報を意識する
フリーターに限らず会社員の場合も、住宅ローン審査では「勤続年数」や「信用情報」が重視される傾向にあります。
お金を貸す側としては、きっちりと返済してもらいたいですから、当然のことと言えます。
勤続年数について
フリーターを審査対象としてくれる金融機関は存在します。
しかしそういった金融機関でも、会社員は勤続年数1年からを対象とするけれども、フリーターは3年とするなど、条件を厳しめにしているケースも多いです。
アルバイトやパート先はなるべく変えずに、1つの場所で長く勤めることを心がけましょう。
信用情報を意識!滞納や借金はNG!
同じ年齢や年収でも、会社員よりフリーターの方が審査は厳しくなります。
その為、会社員以上に信用情報を意識する必要があります。
クレジットカードの引き落としができず滞納をしたり、消費者金融での借金などはNGです。
口座引き落としが1度できずに、すぐに支払いを行った程度ならそこまで気にする必要はありませんが、毎回滞納しているようでは審査通過への道は厳しいと言えます。
そもそも滞納や借金を繰り返している場合は、住宅ローンでお金を借りる準備もできていないと言えるので、まずはその状況を改善する必要があります。
まとめ
会社員よりもフリーターの方が、住宅ローン審査で厳しい現実があることが分かりました。
しかし家を購入する目標を持ったのであれば、あきらめる必要は無く、夢を実現する為の効率的な行動を取れば良いと言えます。