人生において高価な買い物と言えば、家と車を思い浮かべる人も多いでしょう。
この2つを同時期に買う場合、車を先に買うと「住宅ローンが組めない」とか「住宅ローンの借入金額が低くなる可能性がある」という話を聞いたことがあるかもしれません。
結論から言うと、答えは【YES】です。
早速「車と住宅ローンについての真相」と「住宅ローンを組むための対策」について、詳しく解説いたします。
もくじ
車をローンで購入すると、住宅ローンにも影響する
車を買うといっても、現金で一括購入する場合は、住宅ローンを組む際に影響はありません。
問題なのは、車もローンを組んで買うケースです。
住宅ローンの審査の際に「他にどういったローンを契約しているか」をチェックされるので、当然車のローンも該当します。
審査でチェックされるポイントは下記などです。
毎月の返済金額
住宅ローン審査では、借りる人にきちんと返済能力があるかをチェックします。
金融機関もお金を返してもらわなければ困るので、貸した金額に対して「この人は本当に返してくれるのか?」について、しっかり調べるのです。
その際に、車のローン契約があれば、その分を考慮して貸せる金額を判断するのです。
年収や年齢などの状況が全く同じ場合、車のローンを組んでいない人の方が、住宅ローン審査で借入できる金額が多くなります。
滞納状況
もし自分がお金を貸す人であれば「きちんと滞りなくお金を返してくれる人」と、「いつも支払いが遅れる人」を比較した場合、後者には貸したくないと思うものです。
住宅ローン審査でも同じことが言えます。
車のローン金額が少額だとしても、口座残高が足りず、毎回引き落としができていない人は要注意です。
滞納状況も、審査ではしっかりチェックされています。
督促状が届いてから支払うことが定着しているような人は、すぐに行動を見直した方が良いと言えます。
住宅ローンを組んでから、車を購入する方が良い理由
現時点で家も買いたいけれど、生活や仕事で必要なので、車も必ず買わないといけない人もいるでしょう。
その場合には、「住宅購入→車の購入」という順番を推奨します。
理由は下記の通りです。
住宅ローンの審査の方が厳しい
住宅ローンも車のローンもどちらも審査がありますが、「住宅ローン」の審査内容の方が厳しいです。
なぜなら、基本的に住宅購入の金額の方が大きく、返済期間も長いからです。
30年以上かけて返済する人も多いので、途中で払うことができなくなると困ってしまいます。
その為、下記なども車のローンより厳しくチェックされます。
健康状態
住宅ローンを組む際には、契約者は基本的に団信(※1)に加入します。
これに加入することにより、契約者に万が一のことがあると返済が免除されます。
その為、持病があったり直近で大きな病気での通院履歴があると、加入が難しくなります。
会社の勤続年数
転職が当たり前な時代になってはいますが、勤続年数は信用と比例しています。
最低でも1年の勤続年数がないと、住宅ローンを組むのは難しいと言えます。
また1年程度の場合には、選べる金融機関も限られてくるので、3年は欲しいところです。
年収
住宅ローンの審査は「支払い能力」を見ているので、何のマイナス条件もなければ、年収が高い方が多くの金額を借りることができます。
団体信用生命保険の略で、住宅ローン専用の生命保険のことです。
これに加入することにより、契約者が死亡したり高度障害になるなど、万が一の状況になった時に、その後のローン返済が免除されます。
仮に車のローンを先に組み、その後に住宅ローンを組む予定だとします。
その際に病気になってしまったり、予期せぬ会社の倒産などがあると、住宅ローンを借りることが難しくなってしまいます。
そういう意味でも、先のタイミングで住宅ローンを組んだ方が良いのです。
希望の金額が通りづらくなる
住宅ローン審査では、その人の支払い能力を見て、貸すことができる金額を判断します。
車のローンを組んでいると、そちらに支払いをしている分、住宅ローンの貸付金額は少なくなります。
最近ではインターネットの「住宅ローン簡易シミュレーション」なども存在するので、自分の年収をもとに、住宅ローンで借りることができる金額を調べる人もいるでしょう。
しかし車のローンがある場合、実際に借りることができる金額は、簡易シミュレーションの結果より数百万円ほど少ないことがほとんどです。
簡易シミュレーションの金額を元に家を探し、実際に希望金額でローンの審査をしたら、はるかに少ない金額が出て、驚いてしまった経験を持つ人もいるでしょう。
「車のローン」は「住宅ローン」を組んでからでも審査が通りやすいので、住宅ローン審査で希望の金額を通すためにも、家を先に購入する方が良いと言えます。
車のローンを先に組んでしまった場合の対策
この記事を読む前に、先に車のローンを組んでしまっていた人もいるでしょう。
「住宅ローンが組めなくなったり、希望より低い金額しか借りることができない」と、がっかりしたかもしれません。
その為、「住宅購入を数年はあきらめよう」とか「希望よりランクを落として家を買おう」という考えが浮かんだかもしれません。
しかし、まだそれは早いと言えます。
まずは不動産会社に「車のローン金額」と「住宅ローンの借り入れ希望金額」について相談してみましょう。
年収や状況によっては、車のローンがあっても、希望金額の借り入れが可能なことがあります。
相談した結果、住宅ローンの借り入れに影響があることが分かった場合には、下記などの対策を行うと良いでしょう。
対策①車のローンの「一括返済」
「貯金」や住宅ローン購入に使う「頭金」がある場合、その分を車のローンの一括返済に充てます。
ローンが無くなるので、住宅ローンで借入できる金額が増える可能性が高くなります。
但し、キャッシングや消費者金融でお金を借りて、車のローンの一括返済をすることは絶対にやめましょう。
キャッシングや消費者金融での借り入れは、車のローン以上に住宅ローン審査に影響します。
希望金額より少なくなるどころか、審査自体に通りづらくなります。
対策②車のローンの「前倒し返済」
車のローンについて、一部を「前倒し返済」します。
返済方法は、下記の2通りです。
① 期間短縮型
毎月の返済金額は変えずに、返済期間を短くする方法です。
② 返済額軽減型
返済期間は変えずに、毎月の返済金額を少なくする方法です。
住宅ローン審査対策においては、②の返済額軽減型を選ぶようにしましょう。
何故かというと、住宅ローン審査で車のローン状況を見る際には「毎月の返済額」をチェックしているからです。
期間短縮型を選んでしまうと、毎月の返済額は以前と同じなので、前倒し返済をしてもあまり意味をなさなくなってしまいます。
対策③車を売却する
車が無いと生活ができない場合は別ですが、車がしばらく無くてもなんとかしのげる場合には、車を売却することもアリでしょう。
ローンがあっても車を売却できる条件は、下記の通りです。
■ 売却したお金で、ローンを完済できる
車を売却する方法を選んだ場合、住宅ローンの本審査が終了するまでは、レンタカーやカーシェアを利用するのも良いでしょう。
対策④住宅ローンを配偶者との共同で組む
配偶者と住宅ローンを共同で組むと、住宅ローンの借り入れ金額が増える可能性が高くなります。
配偶者がパートや契約社員の場合には、共同ローンを組めないこともあるので、金融機関ごとに確認が必要となります。
また一口に「住宅ローンを共同で組む」と言っても、下記2つの種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
【1.ペアローン】
ローンを夫が1本組み、妻も別で1本組みます。
つまりローンを2本組んでいる状態になり、2人ともにお互いの連帯保証人となります。
メリットとしては、団信や住宅ローン控除(※2)が、2人とも適用される点です。
例えば、夫に万が一のことがあった場合に、妻は夫の分のローン返済をする必要はありません。
この場合、夫のローン返済は免除されるのですが、自分(妻)のローンはずっと払う必要があります。
また将来的に離婚をした場合、どちらかが家を出ていっても、2人ともに返済義務があることもデメリットだと言えます。
確定申告や年末調整をすることによって、ローン残高に応じた税金が返ってくる制度です。
会社員でも、初年度だけは自分で確定申告をする必要があります。
所得税が還付され、住民税も安くなります。
【2.収入合算】
夫婦2人の収入で、1本のローンを借ります。
1人が契約者となり、もう1人は連帯保証人になります。
メリットとしては、契約者が団信に加入していると、契約者に万が一のことがあった場合に、その後のローンの支払いが免除されます。
デメリットとしては、団信は契約者しか加入できず、連帯保証人は加入できないことです。
連帯保証人に万が一のことがあっても、ローンはそのまま残り、契約者が支払い続けることになります。
連帯保証人に就業不能保障保険をつけたり、生命保険をつけるなど、各自で対策をとっておくことも必要でしょう。
また「連帯保証人には家の所有権がないこと」や「住宅ローン控除は契約者だけに適用されること」もデメリットだと言えます。
まとめ
車のローンは住宅ローン審査の際に、影響があることが分かりました。
車も家も同時に購入したい場合には、住宅ローンの本審査に通ってから車を買うことが望ましいです。
しかし、既に車の購入をした場合には、車のローンをなくす(もしくは減らす)方法や、配偶者と一緒にローンを
組むなどの対策をとると、住宅ローン審査が通りやすくなると言えます。
対策方法を紹介しましたが、一番大切なことは「無理なく返せる範囲でローンを組むこと」だと言えます。