これから住宅探しをする人は、新しい生活環境に期待しながらも、借入先や保険選びなど迷われることが増えてきます。
初めて住宅を購入する人にとっては特に難しく感じるかもしれません。
審査に通るかどうかを心配されている人もいらっしゃるでしょう。
審査の流れを知らなければ、書類の準備に手間取り、融資までに時間がかかりすぎることがあります。
また審査の内容を知らなければ、希望通りの融資額を受けられない可能性もあります。
審査内容は金融機関によって異なりますが、大まかにでも審査について知っておくことでスムーズに手続きを進めることができます。
そこでこの記事では、これから住宅ローンを利用しようとお考えの人向けに、住宅ローンの審査の流れと、審査の内容について解説します。
もくじ
住宅ローンの融資までの流れ
住宅ローンを受けるためには、仮審査・本審査に通る必要があります。
一般的に仮審査(事前審査)を受け、その後に本審査に申し込みます。
住宅ローンの融資までの流れやおおよそ要する期間は、次のとおりです。
NO | 住宅ローン審査の流れ | 要する期間 |
---|---|---|
1 | 仮審査申し込み ~ 仮審査結果の連絡 | 即日〜1週間 |
2 | 本審査申し込み ~ 本審査結果の連絡 | 2週間〜1ヶ月ほど |
3 | 契約手続き ~ 融資開始 | 2週間〜1ヶ月ほど |
仮審査を申込む方法は各金融機関によってさまざまです。
店頭でのみ受け付ける金融機関もあれば、インターネットで仮審査の申し込みができる金融機関もあります。
仮審査の申込方法は金融機関によって異なりますが、審査の結果はメールや書面で通知される方法が一般的です。
仮審査に通り、最終的な借入先にする場合は、本審査を申し込みます。
金融機関から本審査に必要な申込書類などが送られますので、申し込みに必要な書類とともに返送します。
書類が揃い次第、本審査が行われます。
その後、メールや電話などで審査結果が通知されますので、結果通りの融資を希望する場合は、住宅ローンの契約に移り、融資実行・引き渡しが行われます。
住宅ローンの期間は上記の通りですが、書類を準備しなければなりませんので、おおよそのスケジュールを把握しておく必要があります。
住宅ローンのスケジュールは金融機関によって変わります。大きくネット完結型と店舗型で分かれますので、ここでも分けて解説します。
(1)ネット完結型の場合
ネット完結型は店舗に行くことなく住宅ローンの手続きを行う方法です。
近年はネット銀行だけではなく、都市銀行もネットでの手続きが可能になっています。
ここでは具体的な日程として楽天銀行を例としてあげます。
楽天銀行は、仮審査申し込み日から26〜45日ほどで完了します。
ただし、混み具合や書類の不備などでこれ以上かかることがあります。
NO | 手続きの流れ | 所要時間 |
---|---|---|
1 | ウェブで仮審査申し込み ~ 事前審査及び本審査申込書類提 | 5〜10日 |
2 | 本審査申込書類受取り ~ 審査後に口座振替用紙の提出 | 7〜14日 |
3 | 契約書類の記入・郵送 ~ 融資実行・引き渡し | 14〜21日 |
楽天銀行の場合、審査の結果連絡は仮審査と本審査で異なっており、仮審査はメールでの連絡、本審査はメールもしくは電話にて審査結果を知らせるようになっています。
本審査が通りましたら契約書類を郵送する必要がありますが、借入希望日の6日前までに郵送する必要があります。
(2)店舗型の場合
店舗型の手続きにも2通りあります。
一つは、仮審査の申込はインターネットで、本審査は店頭で申し込む方法です。
もう一つは、仮審査も含めて店頭で申し込みを行う方法です。ここでは具体的な例として三菱UFJ銀行をあげます。
NO | 手続きの流れ | 所要時間 |
---|---|---|
1 | 来店予約・相談 ~ 窓口にて申込み・審査 | 記載なし |
2 | 担当者より審査の連絡 ~ 窓口にて契約 | 記載なし |
3 | 借り入れ開始 | 記載なし |
三菱UFJ銀行は店舗にて相談を受けたのちに、審査申込みを行います。
相談内容によってはそのまま申し込みを行うことになるため、審査に必要な書類を持参することで円滑に手続きを進めることができます。
店舗相談の場合、担当者と相談した後に審査を申し込むことになりますので仮審査は行わず、本審査に挑むことになります。
本審査にかかる日数は公式サイトの記載がありません。
2週間程度は見積もる必要がありますが、状況によって審査期間が異なりますので、直接聞いておきましょう。
本審査の結果は、担当者より電話で知らされます。融資条件を確認し問題なければ、必要書類を用意し、契約を行います。
住宅ローンの仮審査と本審査の違い
仮審査と本審査では、申込者の返済能力や年齢・職業などを確認します。
重複する審査項目も多いですが、本審査では仮審査と比べ、より細かく審査するという違いがあります。
ここでは、仮審査と本審査の具体的な内容を通して、違いを確認していきます。
仮審査とは
仮審査では、おもに申込者の収入や年齢など、返済能力があるかどうかが確認されます。
金融機関によっては事前審査や受付審査とも言いますが、意味は同じです。
仮審査の必要期間ですが、申し込み当日〜1週間程度となっています。
仮審査を行うための必要書類は金融機関によってさまざまですが、一般的には身分証明書のほかに、源泉徴収票などの収入が分かる書類や会社案内などの勤め先の概要が分かる資料、物件チラシなどの物件概要が分かる資料の提出を求められます。
また、ほかに借り入れがないか確認を行う場合もあります。
まとめると以下の書類が必要になります。
<仮審査で必要な書類(例)>
銀行の違い | ネット銀行 | 都市銀行 |
---|---|---|
借入可能の年齢(最年少) | 満20歳 | 総返済負担率 |
借入可能の年齢(最高齢) | 64〜70歳 | 69〜70歳 |
完済時の年齢 | 79〜84歳11ヶ月 | 80〜80歳11ヶ月 |
勤続年数(会社員) | 3年以上の勤務 | 1年以上の勤務 |
起業年数(個人事業主) | 原則不可 | 3年以上 |
前年度年収 | 400万円以上 | 100万以上 |
総返済負担率 | 35%以下 | - |
普段馴染みがない言葉として土地登記事項証明書と土地の公図があります。
土地登記事項証明書とは土地の所在や面積などが記載された書類です。
土地の公図とは土地の位置や形状を表した図面です。
どちらも法務局で請求することができます。
(2)本審査とは
本審査では仮審査と比べ、必要書類の数が増え、入念な審査が行われます。
本審査が仮審査と比べて細かくなる理由として、金融機関だけでなく保証会社や保険会社の審査が加わるためです。
保証会社は、ローン返済が滞ったときに金融機関に代わり、ローンの回収を行う会社です。
年収に対する融資額が多いほど、回収業務が発生する可能性が高くなりますので、審査は厳しくなります。
保険会社は、申込者の健康状態を確認し、団体信用生命保険の加入基準を満たしているかどうかを審査します。
一般的には本審査で行われます。
また融資対象物件の評価も本審査で行われます。
住宅ローンを借りる上で団体信用生命保険に必ず加入することになりますが、金融機関や融資額によっては健康診断の書類を提出する場合もあります。
金融機関や住宅ローンの申込み内容・申込者の雇用状況によって必要書類が変わってきますが、書類漏れがないように準備していく必要があります。
一般的に、本審査の期間は1ヶ月程度かかります。
混み具合や借り入れ条件によっては短くなることもあります。
例えば楽天銀行の場合、本審査に7〜14日程度、りそな銀行は事前審査から借り入れまで含めると最短2週間で完了することがあります。
(3)ネット銀行と都市銀行の仮審査項目の違い
どの金融機関でも仮審査・本審査の流れは大きく変わりませんが、金融機関によって着目する審査項目が異なります。
ここでは、金利が比較的安いと言われるネット銀行と都市銀行に大別し、仮審査の申し込み条件を見ていきます。
ネット銀行と都市銀行の違いは以下のように表すことができます。なお、公開されていない場合もありますので、実際の基準とは異なる可能性があります。
本人に関わる書類 | ・本人確認書類(運転免許証および健康保険証など) ・源泉徴収票 ・会社の概要が分かる書類 |
購入予定の物件に関わる書類 | ・購入予定物件のパンフレットやチラシ ・土地登記事項証明書 ・土地の公図 (土地購入時) |
金融機関で入手する書類 | ・事前審査申込書 |
ネット銀行:ソニー銀行、楽天銀行、auじぶん銀行、住信SBIネット銀行、イオン銀行、PayPay銀行
都市銀行:みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行
ネット銀行と都市銀行で分けて表にまとめる、ネット銀行の方が厳しい項目があることがわかります。
借り入れが可能な最高年齢を比較すると、ネット銀行のPayPay銀行・住信SBIネット銀行・auじぶん銀行・ソニー銀行が64歳までとなっています。
一方、都市銀行の場合は65〜70歳までと約5年分の差があります。
年齢次第では、融資が厳しくなることも考えられます。
また勤続年数を比較するとネット銀行はより長い勤務経験がなければ申し込むことができない場合があります。
ジャパンネット銀行は3年以上の勤務年数、イオン銀行は6ヶ月以上の勤務年数を条件としています。
ほかのネット銀行も明確な記載はないものの、雇用契約書や職歴書が必要になる場合ことがあります。
一方、都市銀行はりそな銀行・三菱UFJ銀行は1年以上の勤続が条件となっています。
三井住友銀行では勤続年数の記載はないものの、転職した理由・経緯を聞かれる可能性があります。
イオン銀行では個人事業主による申し込みも可能ですが、前年度の所得100万円以上が条件となります。
ジャパンネット銀行の場合、個人事業主や自身や家族が経営する会社に勤めている人は、原則、申し込みができません。
ほかのネット銀行も安定した収入が審査に含まれますので、比較的、収入が不安定と見られがちな個人事業主は審査に厳しいと言えます。
都市銀行もネット銀行同様です。
雇用形態の審査項目については未公開となっている銀行が多いですが、安定した年収が審査条件となっているため、収入が不安定の場合は希望通りの融資を受けられない可能性があります。
個人事業主で住宅ローンを申し込む場合は特に、ネット銀行・都市銀行ともに毎年安定した収入・所得であることが必須と言えます。
フラット35と住宅ローンの審査の流れと違い
金融機関が提供している住宅ローンとは別にフラット35を活用するという方法があります。
フラット35とは住宅金融支援機構が提供しているサービスです。
フラット35自体は金融機関が取り扱っている商品になりますが、住宅ローンと比べて審査の流れや審査項目が若干異なります。
この違いを解説します。
(1)審査の流れ
フラット35の審査の流れは、住宅ローンとほぼ変わりありません。
仮審査・本審査を経て、結果的に住宅金融支援機構から融資を受けることになります。
しかし、フラット35は審査とは別に住宅に関する設計審査の実施と適合証明書を提出する必要があります。
たとえば新築住宅を購入する場合の流れは以下の通りになります。
NO | 新築住宅購入の場合 |
---|---|
1 | 仮審査及び設計審査申し込み ~ 設計審査合格後に着工開始 |
2 | 本審査申し込み ~ 審査結果のお知らせ |
3 | 工事の途中に竣工現場検査の申請 ~ 適合証明書を金融機関に提出 |
4 | 借入れの契約 ~ 入居へ |
新築住宅を購入する場合は、金融機関に仮審査を申し込む時期に検査機関に設計審査を申し込む必要があります。
その後、本審査も通り工事が着工した後に住宅金融支援機構が定めている規定の物件に沿っているか確認するために再度機関に現場検査を依頼する必要があります。現場検
査が完了した後に受け取る適合証明書を金融機関に提出します。
金融機関の住宅ローンと比較すると、物件に関する検査が必要になることが大きな違いになります。
(2)審査内容の違い
金融機関が提供する住宅ローンとフラット35の申し込み条件を比べると、さまざまな違いがあります。
その違いを大きく4つに分けることができます。
フラット35を使うためには住宅金融支援機構が定めた規定の住宅でなければ借りることはできません。
床面積を例にとると以下のような規定があります。
・マンションなどの共同建て:30㎡以上
金融機関の住宅ローンは団体信用保険の加入が必須ですが、フラット35は任意になります。
そのため健康上の問題で団体信用保険に加入できない方はフラット35は選択肢の一つになるでしょう。
しかし、返済中に万一のことが起きれば遺族が残り金額も支払うことになります。団体信用保険を使わない場合、万一のときのことも考えておかなければなりません。
金融機関によって申し込みが可能な年齢は異なりますが、フラット35は満70歳未満と決まっています。
しかし、親子でリレー返済を行う場合は70歳以上でも申し込みを行うことは可能です。
まとめ
住宅ローンの審査は金融機関によってさまざまで、重要視するポイントは異なります。
しかし、おおよその審査の流れ・内容を把握しておくことができれば、対策を打てるのではないでしょうか。