自分に合った住宅ローンを探すのは簡単ではありません。
住宅ローンの返済額は、金利、借入金額、返済期間で決まりますが、実際に負担する金額には、事務手数料や保証料、団信の保険料、登記費用などもあり、トータルで判断しなければならないためです。
様々な費用が含まれるため、少し考え始めると投げ出してしまうかもしれません。しかし、同じ借入金額でも借入先によって負担額が異なりますので、できれば時間をかけて選びたいところです。
そこで、この記事では住宅ローンの比較方法について解説します。
もくじ
自分に適した住宅ローンは比較検討しなければ見つからない。
住宅ローンを探す前は、誰しも最もお得な住宅ローンを選びたいと考えているのではないでしょうか。
しかし、いざ探そうとしても何をポイントにして調べていいか分からず、結局は勧められた住宅ローンを選びがちです。
住宅ローンは絶対的に優れた商品があるわけではなく、比較して初めて住宅ローンの良さが分かります。
年収や借り入れ状況などは人によって異なりますので、自然と選ぶ基準も変わってきます。
そのため、他の人にとって優れた住宅ローンだとしても、皆さんにとっては優れた住宅ローンにならない可能性があります。
時間はかかりますが、住宅ローンを一つひとつ比較し、検討しなければ、自分に合った住宅ローンを見つけることはできません。
ネットで紹介される住宅ローンは審査基準の厳しいものばかり?
各金融機関サイトで住宅ローン情報を調べることができます。
また各金融機関の住宅ローンを紹介しているサイトもあります。
基本的にどのサイトでも、金利が低い住宅ローンをランキング上位やおすすめにしています。
金利が低い住宅ローンほど審査基準は厳しくなるのが一般的ですので、ネットで紹介されている住宅ローンにそのまま申し込んでしまうと、審査に通らないこともあるでしょう。
まずは審査に通りそうかどうかがポイント
住宅ローンの融資を受けられるかどうかについては、審査を受ける必要があります。
どれだけ金利の低い金融機関であっても審査に通らなければその金利を適用することができません。
審査は様々な観点から実施されますが、「年収に対する総返済額の割合(返済負担率)」が高いほど審査は厳しくなります。
総返済額は、住宅ローンだけでなく教育ローンや自動車ローンなどすでに借りているローンも含めます。
たとえば年収500万円で総返済額が200万円の場合、返済負担率は40%になります。
フラット35の返済負担率は、年収400万円未満なら30%以下であること、年収400万円超なら35%以下であることが条件となります。
フラット35以外でも「返済負担率35%」と返済負担率の基準を公開している金融機関もあります。
返済負担率を自分で計算し、25%以内なら余裕の返済になると考えられますので、ネットで紹介されている住宅ローンを利用できる可能性は高くなります。
計算した結果が40%を超えるような場合は厳しくなることが予想されます。
ただ審査では、審査用の金利や返済負担率を使いますので、仮審査に申し込んでみなければ分かりません。
仮審査の結果が思わしくない場合は、金利が多少高くても審査に通る金融機関を選ぶことも考える必要があるでしょう。
審査が厳しい場合は、金利が上がることも考えておく
一般的に、住宅ローン以外の借入金がある、頭金がない、返済負担率が高い場合は、審査が厳しくなることが想定されます。
資金を貸し出す金融機関にとっては、資金を回収できないリスクが高くなるためです。
この場合、金融機関は金利を上げて貸し出すことになりますが、住宅ローンの金利はネット銀行等のように、すでに決まった金利で貸し出すかどうかを審査しているため、人によって金利が異なるわけではありません。
たとえばネット銀行Aの住宅ローン金利が0.5%だとすると、0.5%で貸し出せるかどうかを審査しています。
一方、都市銀行等では審査の結果によって個々に金利を決めていますので、一定の金利幅があります。
たとえば都市銀行Bの住宅ローン金利が0.5%~1.2%だとすると、その範囲内で金利を決めていきます。
さらに都市銀行など審査の結果によって保証料が異なる金融機関の場合は、保証料も上がります。
他の借入金を一括返済できたり、頭金を準備できたりすればいいですが、出来ない場合は、ある程度の負担は考えておかなければなりません。
大まかに分類すると、次のようになります。
審査が厳しい場合は、金利が高くても直接相談できる金融機関も選択肢となる
審査に通ることが厳しい場合は、金利で選ぶのではなく、直接、家計について相談できる金融機関の方が審査に通る可能性が高くなります。
この場合、住宅ローンの返済額に影響のある、金利や保証料は高くなるかもしれません。
また選べる金融機関が限られてきますので、団信の保障を充実させ、保険料分が金利に上乗せされると、負担が大きくなります。
しかし、団信の保障を最低限にしたり、火災保険は自ら探したりと負担を減らせる余地も残っていますので、十分な比較検討が重要となります。
総返済額と総支払額を区別することがある
金融機関サイトの中には、総返済額と総支払額で区別している場合があります。
総返済額 : 「元金(借入額)+利息総額」が基本です。
フラット35のように、団体信用生命保険(団信)の保険料を金利上乗せする場合には、含めることがありますので、「元金(借入額)+利息総額(+団信の保険料)」となります。
団信の保障を充実させる必要がない場合、基本的な死亡保障のみとなり、保険料を負担する金融機関がほとんどです。
一方、総支払額は、「総返済額(+団信の保険料)+事務手数料や保証料+司法書士への報酬額+登記費用(+火災保険料)」と住宅ローンを利用する際に必要な費用すべてを含めます。
最近では火災保険を取り扱う金融機関もありますので、火災保険料を含めることがあります。
住宅ローンを利用する条件として、団信と火災保険の加入は必須となっている金融機関がほとんどですので、両者の保険料も費用に含めておくといいでしょう。
総返済額と総支払額の区別は、金融機関サイトのシミュレーションを使用する際に見ておくといいですが、基本的に住宅ローンを比較する際には「総支払額」で考えた方が正確です。
ただ、総支払額には様々な費用が含まれてますので、火災保険料の見積もりなども揃っていなければ比較することはできません。
また一般的な団信の保障に特約を付けるかどうか(充実させるかどうか)、火災保険を借入先の金融機関から加入するかどうかによっても変わります。
そのため、複雑に感じてしまう場合は、まずは総返済額で比較すると分かりやすいでしょう。
審査が厳しいそうな場合の住宅ローンの比較方法
ここまで解説してきた内容を前提として住宅ローンの比較方法を考えてみます。
どの金融機関の審査でも通る場合は、考えられる金融機関をピックアップし、総返済額や総支払額で一つひとつ比較検討していくことになります。
最終的には金額に差が付きやすい、「利息額(金利)」「団信の保険料分の金利上乗せ」「事務手数料や保証料」「火災保険料」に注目するといいでしょう。
火災保険を自ら探す場合は比較対象から除外します。
一方、審査が厳しいと想定される場合、金利の低い金融機関同士や金利の低い金融機関と高い金融機関で比較しても、役に立たない可能性があります。
この場合、専門家に直接相談してどのような金融機関があるか紹介してもらったり、アドバイスを受けたりするといいでしょう。
自分で探す場合は、情報サイトに掲載されているネット銀行等や都市銀行は避け、住宅ローンの相談できそうな金融機関を探します。
借入先の候補を3~5行ほど探したいところですが、ネット型ではなく店舗型の金融機関の場合、営業範囲内になければ住宅ローンの利用は出来ないのが一般的ですので、地域によっては選択肢が限られます。
住宅ローンの具体的な比較方法
これまで解説してきたように、住宅ローンを利用することによる支出額は、「元金+利息額」だけではありませんので、総支払額で比較検討することになります。
ほとんどの金融機関サイトにはシミュレーションツールがありますので、自分で比較検討することも可能です。
シミュレーションする際には、次の内容を決めておきます。
火災保険料は取得する建物によって異なりますので、シミュレーションでは計算できません。
また金利は借入先の金利となりますので、固定金利や変動金利などの金利の種類を決めておけば、各金融機関のサイトで金利を確認することができます。
極力、同じ条件として、借入先を変えてシミュレーションして比較すれば、どの金融機関がいいか判断できます。
ただ、正確に比較するためには金融機関に仮審査を申し込み、その結果を見てみなければ分からない点には注意が必要です。
家計の状況によって住宅ローンの選び方は異なる
住宅ローンには審査がありますので、審査に通る家計の状況になっているかどうかによって住宅ローンの選び方は異なります。
ほとんどのネット情報は審査に通ることが前提となっていますので、ネットの情報をすべて当てはめることはできません。
重要なことは、金融機関、不動産会社、建築会社・工務店などで携わる専門家からの情報を得ながら、自分に合った借入先を選ぶことです。