中古住宅を購入する際、リフォームをして住む方法があります。
リフォームは住み慣れてからすることもできますが、購入時にリフォームをすることで住宅ローンの負担を軽減することができます。この記事では、中古住宅購入とリフォームを同時に行う場合の特徴について解説しています。
もくじ
中古住宅をリフォームして自分好みの住宅に
新築の一戸建てであれば、内装を自分好みにすることができますが、駅前などに建てることは難しく、基本的には駅から離れた地域に建てることになります。
また新築マンションの場合、希望する立地条件の物件にこだわることができますが、既に決まっている内装から選ぶことになります。
広く受け入れられる内装になっていますので、ある程度の妥協が必要となります。
一方、中古住宅の場合、一戸建てかマンションに限らず、新築住宅より安く取得することができます。
すでにリフォームされている中古住宅はそのまま住むことができますが、自分好みの住宅にするためにリノベーションをして、住みやすさを追求することもできます。
リフォームされていない住宅は、その分、販売価格は低くなっており、元々リノベーションする予定の人にとってはお買い得と言えるでしょう。
中古住宅のメリットを挙げておきます。
中古住宅は新築住宅よりも安く手に入れることができます。
立地条件の割に価格の安い住宅を取得できるのもメリットの一つです。
また新築住宅との価格差分をリフォーム費用にあて、自分好みの住宅に改修できるメリットもあります。
つまり、中古住宅購入とリフォームにより、生活しやすい立地条件、自分好みの住まいを求めることができます。
一方、中古住宅のデメリットは、汚れや傷みの状況を把握して、住宅取得時だけでなく、入居後のリフォーム計画も考えておかなければならない点で、予想していたよりも住宅の寿命が短くなることも考えられます。
「中古」であること自体、心理的に避けたい人もいらっしゃるでしょう。
ただ中古住宅の修繕記録や傷み具合を事前に把握しておけばリフォーム計画は立てやすくなりますので、新築住宅と同様、信頼できる不動産会社や建築会社・リフォーム会社を選ぶことが重要となります。
新築住宅と中古住宅のメリット・デメリット
新築住宅 | 中古住宅 | |
---|---|---|
メリット | ・新築なのでキレイ ・建物を長く使える ・住宅に隠れた欠陥があっても10年間保証を得られる | ・新築住宅より安く購入することができる。 ・立地条件の良い住宅を取得することができる。 ・リフォームにより自分好みの住宅にすることができる。 ・購入後の住宅価値は下がりにくい。 |
デメリット | ・入居直後に住宅価値が下がる ・中古住宅より高い | ・住宅診断が必要となる。 ・入居後に建物の欠陥が見つかることがある。 |
リフォームとリノベーションの違い
リフォームとリノベーションの違いは、明確に決まっているわけではありませんが、一般的な違いがあります。
リノベーションは、住宅の価値を上げるための改修で、リフォームは、住宅の価値を元に戻すための改修と言われています。
中古住宅を購入した際、汚れや傷みを修繕し元に戻すために、壁紙を張り替えたり、配水管を取り替えたりすることはリフォームです。間取りを変えたり、耐震性や省エネルギー性を向上させたりすることはリノベーションと言えるでしょう。
ただこれらすべてをまとめてリフォームと呼ぶこともあります。
住宅購入時にリフォームしてローンを利用する!が基本
中古住宅を購入し、住み慣れてからリフォームをしようと考えているかもしれません。
しかし、住宅取得資金とリフォーム資金の両方を借り入れで対応する場合、出来れば、同時にローンを組んだ方が負担は軽くなります。
これは、多くの金融機関では、融資対象にリフォーム費用を含んでいるためです。住宅購入後、6ヶ月以上など一定期間過ぎてからのリフォームは対象外となり、この場合はリフォームローンを使うことになります。
住宅ローンとリフォームローンの違い
リフォームと同時に融資が受けられる住宅ローンとリフォームの費用のみ借り入れるリフォームローンには大きな違いがあります。
両者の違いについてまとめます。
項目 | 住宅ローン | リフォームローン |
---|---|---|
金利 | 低い | 高い |
返済期間 | 長い | 短い |
担保 | 必要 | 不要 |
金利について、住宅ローンの金利はどの金融機関も、教育費ローンや自動車ローンなど他のローンより低く設定されています。
これは生活に必要不可欠な住宅に対するローンであるためです。
住宅の購入とリフォームを同時に融資してもうらことで、住宅ローンの低い金利を活用できます。
一方、リフォームローンは、住宅ローンの金利と比べ高くなります。
金利が高くなればその分、支払わなければならない利息額が増えることになります。
返済期間について、一般的にリフォーム融資部分の期間は住宅ローンの返済期間に合わせます。
住宅ローンの返済期間が30年であればリフォーム部分も30年となります。
返済期間が伸びる分、利息額は増えますが、この増額分を考えても、金利差でリフォームローンの方が利息額は多くなります(この記事の後半のシミュレーションで確認します)。
また、リフォームローンは一般的に15年以内と短期間の融資となります。
担保について、住宅ローンは購入した住宅を担保にして融資を受けます。
つまり、住宅ローンの返済ができなくなれば、金融機関は担保の住宅を売却して現金化し、返済に充てます。
一方、リフォームローンでは、一般的に担保は不要となりますので、担保の評価額が十分かどうかなどの審査はありません。
条件次第だが、住宅ローンでまとめて借りた方が有利!
住宅ローンとリフォームローンの違いから、リフォームの資金も住宅ローンと同時に借りた方が、支払うべき利息額は少なくなります。
これは住宅ローンとリフォームローンの金利差が大きいためですが、利息額は金利だけでなく、返済期間や融資金額によっても異なりますので、心配な人はシミュレーションで確認してみてください。
フラット35のリフォーム用ローン
フラット35にもリフォーム一体型の住宅ローンがあります。
フラット35は返済期間最長35年の全期間固定金利で、フラット35を取り次ぐ金融機関で申込することができる商品です。
フラット35には建物について技術基準を設けていますが、リフォームをして技術基準を満たせば、リフォーム一体型のフラット35を利用することができます。すでに技術基準を満たしていれば、リフォーム工事の内容は自由ですので、希望する工事を実施することができます。
住宅ローンとリフォームローンを比較!
実際に住宅ローンとリフォームローンでどの程度、利息総額に差が出るか、金融機関のシミュレーションで確認しましょう。
分かりやすくするために、リフォーム部分だけでシミュレーションします。
リフォーム金額が1,000万円、500万円、100万円の場合で、りそな銀行の金利でシミュレーションしてみます。
りそな銀行の金利は、住宅ローン(変動金利型)が0.47%、リフォームローン(変動金利型)が2.0%です。
住宅ローンは返済期間30年、リフォームローンの返済期間は10年とします。
皆さんがシミュレーションするときは、借り入れ予定の金融機関やお近くの金融機関で試してみてください。
<1,000万円のリフォームをする場合>
ローンの種類 | 利息総額 | 毎月の返済額 |
---|---|---|
リフォーム一体型 (変動金利型) | 723,340円 | 29,787円 |
リフォームローン (変動金利型) | 1,583,075円 | 64,350円 |
1,000万円のリフォームとなると、中規模~大規模のリフォームとなります。
金融機関によっては、リフォームの上限で借りられない場合がありますので、借入限度額の確認が必要となります。
リフォーム一体型の場合、住宅ローンの毎月の返済額に約3万円上乗せされ、利息総額は約70万円増えます。
リフォーム一体型は、一度に借り入れる金額が増えるため、審査に影響する点には注意が必要です。
リフォームローンを利用する場合は、金利が高くなることに加え、返済期間は短いため、毎月の返済額は多くなります。
このシミュレーションでは、毎月の返済額は約6.4万円ですので、1,000万円規模のリフォームは「手軽」にはできないでしょう。
リフォーム一体型とリフォームローンとの利息総額の差は、約86万円です。
リフォームローンの返済期間はリフォーム一体型の半分ですので、利息総額の差は小さくなります。
<500万円のリフォームをする場合>
ローンの種類 | 利息総額 | 毎月の返済額 |
---|---|---|
リフォーム一体型 (変動金利型) | 361,589円 | 14,893円 |
リフォームローン (変動金利型) | 791,484円 | 32,175円 |
リフォーム一体型とリフォームローンとの利息総額の差は、約43万円です。
毎月の返済額は、リフォーム一体型が住宅ローンに約1.5万円上乗せされ、リフォームローンは約3.2万円gとなります。
先ほどの1,000万円のリフォームと比べると、比較的利用しやすい返済額ではないでしょうか。
<100万円のリフォームをする場合>
ローンの種類 | 利息総額 | 毎月の返済額 |
---|---|---|
リフォーム一体型 (変動金利型) | 72,182円 | 2,978円 |
フォームローン (変動金利型) | 158,217円 | 6,435円 |
リフォーム一体型とリフォームローンとの利息総額の差は、約8.6万円です。
毎月の返済額から考えると、100万円のリフォームは比較的しやすいと思われます。
約8.6万円の差が大きいか小さいかは人によりますが、リフォーム規模が小さい場合は無理にリフォーム一体型を利用しなくてもいいと判断する人もいるでしょう。
リフォーム金額が1,000万円、500万円、100万円の場合でシミュレーションしましたが、リフォーム金額が高いほど利息総額の差は大きくなりました。
ただこのシミュレーションにおいて、リフォーム一体型の利息総額と毎月の返済額は、住宅ローンに上乗せされる金額ですので、利息総額や毎月の返済額が増えてしまいます。
継続して返済できることも考えなければなりません。
リフォーム一体型はお得だが、総合的な判断も必要
中古住宅の購入とリフォームを考えている場合、基本的にはリフォーム一体型を利用した方が負担は軽くなります。
しかしリフォームの規模が小さい場合やリフォームを予定していない場合は、無理にリフォームをしなくてもいいかもしれません。
リフォーム一体型がお得だとしても、借入額が増えるため審査は厳しくなり、希望通りの融資が受けられない可能性もあります。
毎月の返済額も増えますので、借り入れ状況によっては総合的に判断して決めた方がいいでしょう。