借入先を選ぶときには、出来る限り自分に合った金融機関を探すと思います。
最も知りたいことは、諸費用などの負担が軽い金融機関だと思いますが、条件などによって変わるため、あまり参考にならないこともあります。
そこで、どのようなことをポイントに借入先を選んだらいいのか解説します。
もくじ
住宅ローンを選ぶ際の基準を明確にする
これから借入先を選ぶポイントを紹介しますが、自分に合った金融機関を探す前に、選ぶ基準を明確にしておくことが大切です。
「選ぶ基準」は、ご自身の状況によって変わります。
たとえば、「年収が高い」「住宅ローンの借入金額が年収の割に少ない」「貯蓄がある」「頭金がある」「他にローンがない」のいずれか1つ以上に当てはまれば、審査に通りやすいでしょう。
このようは場合は、どの金融機関でも希望通りの融資を受けられる可能性があります。
しかし、このような状況にない場合、住宅ローンを選ぶ際の基準を明確にしておかなければなりません。
すべての条件を希望通りに通すのは難しくなりますので、負担を減らせるところでしっかり対応し、住宅ローンの返済による家計への影響を最小限にとどめる必要があります。
審査が厳しくなることが予想される場合やすでに金融機関の審査結果が希望通りでなかった場合、「金利・金利タイプ」「返済期間」「金利上乗せタイプの団信」などでは譲歩しなければならないこともあります。
このように、どのポイントを優先するか(優先できるか)は、ご自身の状況によって異なりますので、それぞれのポイントを具体的に紹介します。
審査に通る金融機関
低い金利や諸費用の金融機関を選びたいところですが、まずは審査に通るかどうかが重要です。
一般的に金利の低い金融機関は審査が厳しくなります。金融機関は、保険や投資信託など様々な商品を扱っていますので、住宅ローンをきっかけに他の商品を勧めることができます。これらの商品も購入できる層をターゲットにしているとも考えられます。
住宅ローンの審査では、すでに利用しているローンも影響します。
年収の割に毎年の返済額が多かったり、過去に滞納があったりすると、低い金利の金融機関にばかり審査の申し込みをしても通らない可能性があります。
webサイトなどで紹介されている金融機関は、金利の低さを優先していますので、このようなサイトは参考にならないかもしれません。
審査に通るかどうか不安な人やすでに複数の審査に通らなかった人は特に、審査に通る金融機関を選ぶことが最優先事項になります。対面相談で話を聞いてもらえる金融機関を中心に問い合わせてみましょう。
住宅ローンの返済額に影響する3大条件
住宅ローンの返済額は、金利、返済期間、借入金額の3つで決まります。
まずは基本となる、金利(金利タイプ)、返済期間、借入金額の選び方や考え方について解説します。
金利・金利タイプを選ぶ
金利は金融機関や金利タイプによって異なり、金利については「審査に通る金融機関」で触れましたので、金利水準に影響する金利タイプの選び方について解説します。
金利タイプには、変動金利型、全期間固定金利型、固定金利期間選択型などがあります。20年ほど低金利が続いていますので、これからも低金利が続くと考えてしまいがちですが、金利の動きは予測できません。
変動金利型は借入当初の金利が低いため、融資金額が増えますが、金利上昇時には家計に影響が出る可能性があります。
一方、全期間固定金利型は金利上昇のリスクを避けることができる分、変動金利型よりも金利は高めです。そのため、希望通りの融資が受けられない可能性もあります。
金融機関の審査結果は、「融資不可」ではなく、「条件付き」になることが多く、現在のローンを返済することが条件となることがあります。
条件を満たすことができれば、自由に金利タイプを選べるかもしれませんが、状況によっては希望する金利タイプを選べないことも想定しておく必要があるでしょう。
返済期間を考える
返済期間について、期間が短いと毎年の返済額は増え、期間が長いと毎年の返済額は減ります。
住宅ローンの審査では、年収と年間の返済額のバランスを見ていますので、審査に通るためには返済期間を長くとる必要があります。
もし返済期間を長くして、変動金利型を選ぶと、金利上昇リスクを負う可能性が高くなりますので、返済期間が長い場合は全期間固定金利型にするか、変動金利型を選んだとしても一部繰上げ返済を定期的に行うよう計画するなどで、対応を考えておいた方がいいでしょう。
ただ、審査に通るかどうかギリギリの場合は、返済期間を長くしなければなりませんので、この場合、自由に選ぶことができないかもしれません。
借入金額を考える
借入金額について、借入金額が増えれば返済額はもちろん利息額は増え、借入金額が減れば利息額は減ります。
できれば、住宅探しの前に予算を決め、借入金額を返せる範囲内にしておきたいところです。
審査が厳しい人にとって、金利や返済期間は自由に選びにくいかもしれませんが、借入金額だけはご自身で調整できます。
変動金利型で返済期間が長いのであれば、借入金額を極力少なくすることで、審査に通りやすくなり、長期間、安定して返済できるようになります。
団信保険に付加する特約を検討する
ここまで、金利・金利タイプ、返済期間、借入金額について解説しましたが、団信に付加する特約の選び方も重要です。
特約によっては金利が高くなることがあるためです。
なお、特約によって、保険料を金融機関が負担するか、金利に上乗せされるかのどちらかとなりますが、一部、保険料として支払う団信特約もあります。
死亡保障と所定の高度障害保障のみの一般的な団信や三大疾病付団信については、保険料を金融機関が負担する場合がほとんどです。
一方、8大疾病保障付団信など、保障内容が充実していて、保険料を金融機関が負担する場合、審査が厳しくなる可能性があります。
融資条件が優遇されているほど、審査が厳しくなるのが一般的であるためです。
審査に通るかどうか不安な場合、団信の保障についても、有利な条件を求めすぎると、審査に通らない可能性が出てくるでしょう。
保障を充実させると、「金利+0.3%」など金利が高くなりますので、まずは最低限の保障で検討した方が、審査に通りやすくなります。
保障がないと不安に感じるかもしれませんが、一般的な保険でも保障を受けられますので、団信特約でなくても対応可能です。
火災保険を選ぶ
火災保険について、借入先となる金融機関で加入すると保険料が割引となる場合があります。
これまで解説した、住宅ローンの3大要素や団信特約とは異なり、住宅ローンの返済額自体に影響しません。
もちろん、火災保険料としての支払いがありますので、保険料はなるべくおさえたいでしょう。
借入先の金融機関で加入することで、保険料の割引が受けられたとしても、保険料が安くなるとは限りません。
もともと保険料が高ければ割引されたとしても高いままである可能性があるためです。
審査が通りにくい人は、金利・金利タイプ、返済期間で融通が利かないかもしれませんが、火災保険料については自由に選ぶことができるでしょう。
金融機関が提携している火災保険のほかに、ご自身でも火災保険を探し、補償内容と保険料を比較することで、保険料の負担をおさえられる可能性が高くなります。
住宅ローン選びで得する選び方
住宅ローン選び方は、置かれている状況によって異なります。
住宅ローンの返済に余裕があり、どの金融機関でも審査に通る状況であれば、金利や諸費用、団信の特約などで最も有利な金融機関を選べるでしょう。
しかし、必ずしも全員が審査に余裕を持って通るとは限りません。
特に審査に複数申し込んだが、希望通りの結果でなかった人は、融通の利く点と利かない点を見極め、住宅ローン選びをする必要があります。
収入面での審査基準は、総返済負担率です。
総返済負担率は、「年収÷年間返済額×100」で計算しますが、年収はすぐに上げることは難しいため、年間返済額を調整する必要があります。先に解説したように、他のローンを一括返済することがベストですが、そう簡単にはいかないでしょう。
住宅ローンの年間返済額を減らすためには、変動金利型を選ぶ、返済期間を長くする、金利上乗せ型の団信特約に加入しない、借入金額を減らすことです。
状況によっては審査に通りにくいほど条件が厳しくなるかもしれませんが、借入金額を減らし、火災保険は自分自身で探すことで、極力負担を減らすことも可能です。
最も得をする金融機関の選び方
皆さんが最も知りたい情報は、「〇〇銀行がおすすめ」という答えかもしれませんが、状況によって異なりますので、単純に答えを出すことはできません。
冒頭に紹介したように「年収が高い」など、状況が良く、どの金融機関でも選べる場合は、金融機関一つひとつシミュレーションして、最も負担の軽いところを選べばいいでしょう。
しかし、そのような状況にない場合、すでに審査に通らなかった場合は特に、対面相談を利用して現状を詳細に伝えることができる方が融資を受けられる可能性が高くなります。
web審査は、担当者と直接会うことなく、融資までwebだけで完結するため、手軽でいいかもしれませんが、反面、収入や借入金額など数値だけで判断しますので、厳しい審査結果になりがちです。
また金融機関を自由に選びにくい状況であれば、住宅取得のタイミングを遅らせ、他のローンを返済したり、頭金を準備したりと状況が良くなってから動き出すことも一つの方法です。
どのような方法がいいかは、工務店や建築会社に相談したり、借入予定の金融機関に説明を受けたりして決めましょう。