家を購入する際に、住宅ローンを組む人は多いでしょう。
住宅ローンを組む際には、毎月の支払い額の他に、頭金や諸費用などで多くのお金が必要になります。
こんな時に、少しでもお金が戻ってくるのであれば嬉しいものです。
そこで気になるのが「住宅ローン減税」ですが、家を購入した人が誰でも対象になるわけではなく、減税を受ける為には条件があります。
本記事では、ご自身が「住宅ローン減税の対象なのか?それとも対象外なのか?」について、詳しくご紹介いたします。
もくじ
住宅ローン減税とは?
住宅ローン減税は住宅ローン控除などとも呼ばれ、正式には「住宅借入金特別控除」と言います。
住宅ローンを借りている人は、その年の12月末時点の住宅ローン残高に対し、所定の所得税が控除されます。
所得税からも引ききれないと、住民税からも控除されることになります。
簡単に言うと「年末に住宅ローン残高があると、その金額に応じて所得税がいくらか戻ってきて、場合によっては翌年の住民税も安くなる」ということです。
確定申告か年末調整を行う
住宅ローン減税の恩恵を受ける為には、確定申告又は年末調整を行う必要があります。
初めて減税を受ける人は、会社員・自営業問わずに全員「確定申告」をします。
会社員であれば翌年以降は「年末調整」をすることにより、減税が可能になります。
減税を受けられる期間
減税対象期間は基本的に「最大13年間」です。
令和3年度の税制改正により住宅ローン控除が延長となり、内容が一部改正されましたが、令和4年度の税制改正によって適用期限がさらに延び、内容についても改正がありました。
令和4年度の税制改正によって住宅ローン控除がどうなったのか!?最新の制度内容から計算方法、手続きの方法まで詳しく解説します。
現在、住宅の新築・購入・リフォームを計画している人が住宅ローンを組む場合、税制改正や住宅ローン控除の延長、控除内容などは家計に大きく関わります。ぜひ参考にしてください。
令和4年度税制改正で住宅ローン控除が4年延長
令和4年度の税制改正で住宅ローン控除の適用期限が、4年延長されるとともに、内容が一部改正されました。
さらに今回、住宅の環境性能(省エネ性能など)に応じた借入限度額の上乗せ措置が講じられています。ここでは、住宅ローン控除が延長される背景やその概要、最新の制度内容・変更点などについて解説します。
住宅ローン控除が延長される背景
住宅ローン控除が延長されるようになった背景は、コロナウイルスでダメージを受けた経済の回復を下支えし、持ち直しの動きを確かなものにするためとされています。住宅への投資や支出は、民需主導の経済成長軌道に戻していくための大切な要素です。
住宅ローン控除の延長により、住宅への投資や支出が喚起されることも目的となっています。大きな目的としては、住宅ローン控除を受けることで可処分所得が増えて、内需が少しでも回復することです。
また、今回の期限延長の背景は、もう1つあります。それはカーボンニュートラルの実現に向けた観点です。
住宅(家庭)が占める二酸化炭素排出量は大きく、カーボンニュートラルの実現には、省エネ住宅などの低炭素住宅の普及が重要だと言われています。
住宅ローン控除の適用期限延長、環境性能に応じた借入限度額の上乗せ措置によって、低炭素住宅への住み替えを進めるという狙いもあります。
住宅ローン控除の税制改正の概要
新築住宅・買取再販(住宅)、既存住宅を問わず令和4年1月~令和7年12月
2. 控除率
一律0.7%
3. 借入限度額
※住宅の環境性能などによって、下記の通り異なる。
新築住宅・買取再販の場合
●長期優良住宅・低炭素住宅
令和4年~令和5年入居は5000万円、令和6年~令和7年入居は4500万円
※令和6年迄 子育て世代
(注)5,000万円
●ZEH水準省エネ住宅
令和4年~令和5年入居は4500万円、令和6年~令和7年入居は3500万円
※令和6年迄 子育て世代
(注)4,500万円
●省エネ基準適合住宅
令和4年~令和5年入居は4000万円、令和6年~令和7年入居は3000万円
※令和6年迄 子育て世代
(注)4,000万円
●その他の住宅
令和4年~令和5年入居は3000万円、令和6年~令和7年入居は令和5年までに新築の建築確認を受けた場合に限り2000万円(令和6年以降に建築確認を受けるなど、登記簿上の建築日付が令和6年7月以降のものは0円)
(注)子育て世代:夫婦どちらかが40歳未満又は、19歳未満の子供がいる世帯
住宅ローン減税で、どれくらいのお金が戻ってくるのか?
確定申告又は年末調整をすることにより、住宅ローン減税で、どれくらいのお金が戻ってくるのかについて、気になるところです。
控除される金額は、下記3つの条件により変わります。
① 年末時点での住宅ローンの残高
② 支払っている税金額
③ 住んでいる住宅の性能など
まずは①の「年末時点での住宅ローンの残高」についてです。
年末時点での住宅ローン残高が高いほど、控除額は高くなるので、初年度が一番戻ってくるお金が多いことが分かります。
住宅ローン減税の控除額は最大400万円ですが、これは10年間の合計での最高金額を指します。
毎年の控除額40万円×13年=最大520万円ということです。
住宅ローン減税の控除額は、住宅ローン残高に対して1%と決まっているので、最大400万円を控除するには、住宅ローンの借入額自体が4,000万円を超えていることが条件になります。
13年間すべての年末で住宅ローン残高が4,000万円以上あれば、「最大520万円」が戻ってくる可能性があるというわけです。
しかし、最大金額をもらえる人はそう多くはないでしょう。
住宅ローン減税の適用条件とは?
住宅ローン減税は、住宅ローンを組んで家を購入すれば、誰でも恩恵を受けられるというものではありません。
住宅ローン控除を受けるには、どの項目においても合計所得が2000万円以下で、住宅ローンの返済期間が10年(一部5年間の緩和あり)という条件があります。さらに、新築か中古物件かなど項目によって適用条件がそれぞれ異なります。
適用条件は下記の通りです。
新築の場合の適用条件
新築の場合に住宅ローン控除を受けるための主な適用条件は以下の通りです。
※(合計所得金額が1000万円以下で、2023年までに建築確認が降りれば40㎡)
また、床面積においては50平米未満の場合は適用外となりますので、あらかじめ登記簿面積を確認する必要があります。(合計所得金額が1000万円以下で、2023年までに建築確認が降りれば40㎡)
販売資料や売買契約書に記載されている床面積と、税制上の床面積は異なりますので、登記簿に記載されている面積を必ず確認するようにしましょう。
中古の場合の適用条件
中古住宅の購入の際も住宅ローン控除が適用されます。その場合には、以下の条件を満たす必要があります。
近年では、中古住宅を購入しリノベーションする家庭も増えていますが、控除を受けたい場合は、建築年数については事前にしっかりと確認するようにしましょう。また、床面積においては、新築住宅と同様に50平米以上であることを満たす必要があります。
増築・リフォームの場合の適用条件
自宅のリフォームや増築を検討している際も、規定を満たしていれば住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローンをすでに返済中の場合は、増築にかかる費用と合わせてローンの借り換えを行うことができます。
しかし、本人が別の住宅に居住している場合は適用外となりますので注意が必要です。
例えば、実家をリフォームする場合などは、契約をする本人が遠方に住んでいる場合は対象外となります。
主な適用条件については、以下の通りになります。
中古住宅を新規購入でリフォームする場合は、上記の中古住宅購入の適用条件に即して、昭和57年(1982年)以降に建築された住宅であることが条件となります。
床面積や所得金額は新築物件の条件と同様で、それぞれ50平米以上、2000万円以下であることが条件となっているほか、リフォームの工事内容については、大規模な模様替えの工事、家屋の一室の床又は壁について行う修繕工事、現行の耐震基準に適合させるための修繕工事、一定のバリアフリー改修工事、一定の省エネ改修工事と、工事内容が定められています。
入居した年の前後2年間ずつの間で、居住用財産を譲渡した場合の「長期譲渡所得の課税特例」の適用を受けている場合は、控除の適用外となりますので注意しましょう。
土地購入の場合の適用条件
住宅ローン控除はあくまで「住宅」に対する制度なので、基本的には土地を購入しただけでは、適用されません。
ただし、土地取得から2年以内に、その土地において住宅ローンを利用して住宅を新築した場合や、建築条件付き土地(一定期間内にその土地に建物を建てることを条件に販売される土地)を購入し、購入から3カ月以内に建築請負工事契約を締結した場合には住宅ローン控除の対象となります。
ローンの種類や適応条件
ここまで住宅ローン控除の対象条件を説明しましたが、更に「ローンの種類」や「その他条件」についてもクリアするべき条件があるのでご紹介します。
下記のいずれかで住宅ローンを借りた場合に、住宅ローン控除の対象となります。
■住宅金融支援機構
■地方公共団体
■公務員共済組合
■勤務先の会社(※親族や自分が役員になっている場合には、対象外です。)
例えば保険会社などで借りた住宅ローンは、対象外だということです。
まとめ
住宅ローン減税の対象になるには、いくつか条件があることが分かりました。
また条件にあてはまっても、確定申告や年末調整を忘れると、お金が戻ってくることはないので、自分でアクションをする必要があります。
本記事を参考にし、自分が対象者であることが分かった場合には、確定申告又は年末調整をし、控除の手続きを忘れずに行うようにしましょう。