正社員で毎年ボーナスが支給される場合、住宅ローンの支払いについて、ボーナス併用払いを考える人もいるでしょう。
多い理由としては「ボーナスが毎年しっかり出ているから」とか「ボーナス払いじゃないと支払いがきついから」等です。
本記事では、住宅ローンの支払いで「ボーナス併用払い」を選択することのメリット・デメリットや、ボーナス併用払いをしているのにボーナスカットにあった場合の対処方法などを詳しく解説いたします。
もくじ
返済方法には「毎月払い」と「ボーナス併用払い」がある
住宅ローンの返済方法には、毎月同じ金額を返していく毎月払いと、夏と冬のボーナス時期には更に上乗せした金額を返していく「ボーナス併用払い」があります。
ボーナス併用払いの「ボーナス時期」の支払い金額は、多く設定することも少なく設定することも可能です。
それでは例をあげて「毎月払い」と「ボーナス払い」の支払いについて見てみましょう。
1年間の住宅ローンの返済合計額が120万円だったとします。
この場合、それぞれの返済金額は下記のようになります。
【毎月払い】
毎月10万円を返済します。
【ボーナス併用払い】
ボーナス時期以外は同じ金額を返済するが、年2回のボーナス時期は更に上乗せした金額を返済します。
例えば、年2回のボーナス時期にそれぞれ9万円を増額する設定にしたとします。
その場合には、毎月8.5万円を返済しますが、ボーナス時期にはそれぞれ8.5万円+9万円=17.5万円を返済することになります。
毎月払いとボーナス併用払いのメリット・デメリットは?
毎月払いとボーナス併用払いについて、メリット・デメリットは下記の通りです。
毎月払いのメリット
ボーナスは業績悪化や不況などで支給額が減らされることもありますし、全額カットになることもあります。
毎月払いの場合には、こういったボーナスの不安定性に影響されることがないことがメリットだと言えます。
また毎月同じ金額を支払うので、今後のお金に関する計画も立てやすいと言えます。
毎月払いのデメリット
ボーナス併用払いに比べると、毎月の支払金額が多くなることがデメリットだと言えます。
ボーナス併用払いのメリット
年2回のボーナス月には、多くの金額を支払うことになるので、その分毎月の返済負担額が少なくなることがメリットだと言えます。
ボーナス併用払いのデメリット
経営悪化などの影響でボーナスカットや減額があった場合には、家計に打撃がある点がデメリットだと言えます。
大企業で今まで黒字で安定していたとしても、予期せぬ大不況になることもあります。
ボーナス併用払いは、このような不安定性と常に背中合わせだと言えます。
また年間の返済額が同じだとしても、ボーナス併用払いの方が利息を多く払う点もデメリットだと言えます。
ボーナスカットや減額になった場合の対処方法
ボーナス併用払いを選択していて、予期せぬボーナスカットや減額になった場合でも、問題なく支払いを続けられる人は良いですが、困ってしまう人もいるでしょう。
そのまま何もせずに延滞してしまうことは、避けなければいけません。
最悪の場合には住宅を手放すことになりますし、今後住宅ローンの借り換えができなくなったり、他の物やサービスを購入する時にローンが組めなくなります。
ボーナスカットや減額になった場合の対処方法について、下記に3つご紹介します。
対処方法1:ボーナス併用払いから月払いに変更
ボーナス併用払いから、毎月一定額を支払う月払いに変更してもらいます。
毎月の支払い金額は増えますが、ボーナス時期の負担は減るので、この機会に「ボーナスに頼らない家計設計」ができるように見直してみると良いでしょう。
条件によってはボーナス併用払いから月払いに変更できないこともあります。
まずは住宅ローンを借りた金融機関に相談してみましょう。
対処方法2:ボーナス時期の返済金額を少なくする
ボーナス併用払いは続けるものの、ボーナス時期の返済金額を少なくしてもらうという方法があります。
ボーナス時期に支払う金額が少し減れば、今後も払い続けることができるという人にはオススメなやり方です。
ボーナス時期の返済金額を少なくしたことにより、毎月の支払い金額は増える点も頭に入れておきましょう。
対処方法3:住宅ローンの借り換えを検討
他の住宅ローンを調べてみて、月払いで支払いができて、今よりも家計に負担が少なくなる商品があるのであれば、借り換えを検討してみることも良いでしょう。
その際には、下記も考慮する必要があります。
住宅ローンを借り換える際に、下記のような費用が発生します。
~借り換え先の金融機関に支払う~
~現在借りている金融機関に支払う~
~その他~
これらの費用も含めたうえで、住宅ローンを借り換えた方が得か否かを判断します。
【支払い滞納などの「信用情報」問題の有無】
住宅ローンを借りた後に、支払いがきついので何度も滞納をしてしまったという人は要注意です。
住宅ローンの支払いを優先したので、クレジットカードやスマホの料金を滞納したり、キャッシングなどを行ってしまった人も同様です。
何故かというと、これらの行為は信用情報に傷をつけたことになるので、住宅ローンの借り換えを行おうとしても、審査が通らない可能性が高いからです。
審査をして落ちても、他の金融機関に審査を出せば良いだろうと思うかもしれません。
しかし信用情報の問題で住宅ローンの借り換えができない場合には、他の金融機関に審査を出しても、基本的に落ちると思った方が良いです。
こういった状態で審査を繰り返すことは、アウトな審査履歴を残すことにもなり、各金融機関には「様々な機関で審査をうけても通らないので、問題があるのかもしれない」と思われるだけです。
ボーナス併用払いは、こんな人に向いている
ここまで、住宅ローンのボーナス併用払いについて説明しましたが、それを踏まえたうえで「こんな人であれば向いている」という特徴についてご紹介します。
不況にも影響を受けづらい仕事をしている
毎年ボーナスをしっかりもらえていて、ボーナス支給が無かったことはないという人もいるでしょう。
このような状況だったのに、ある出来事がきっかけで会社が一気に傾き、ボーナスが大幅に減った人も知っています。
このようなことから、自分の仕事が「不況にも影響を受けづらいのか?」と考える必要があります。
例えば「公務員」や「医療関係者」などであれば、比較的不況にも影響を受けづらいので、ボーナス併用払いを選択するものアリだと言えます。
ボーナスが支給ゼロになっても、住宅ローンを払い続けられる
仮に次のボーナスから支給金額が0円になった場合に、住宅ローンを払い続けられるかと、自分に質問してみて下さい。
YESと即答できるのであれば、ボーナス併用払いを選択しても良いでしょう。
もし少しでも考えてしまうようであれば、ボーナス併用払いはあまりオススメできません。
計画的に貯蓄をすることができる
使いこむこともなく、堅実に貯金をできる性格の人には、ボーナス併用払いは向いていると言えます。
年間の住宅ローン返済額は、毎月払いでもボーナス併用払いでも総額は同じです。
(但し、利息はボーナス併用払いの方が高くなります。)
例えば年間返済額が120万円の場合、毎月払いだと10万円をコンスタントに返済します。
ボーナス併用払いで、年2回のボーナス月に各20万円を返済する場合、その他の月は8万円を返済することになります。
この例の場合、毎月下記の金額を貯金することができれば、仮にボーナス月にボーナス支給額がゼロ円だとしても貯蓄額で対応可能です。
10万円-8万円=2万円
計画的に貯蓄をできる人は、このように万が一の場合にも対応ができるので、ボーナス併用払いにも向いていると言えます。
こんな人は、ボーナス併用払いは向かない
住宅ローンのボーナス併用払いについて「向かない」という人の特徴をご紹介します。
不況の影響を受けやすい仕事をしている
毎月の給与支払いは会社の義務ですが、ボーナス支払いは義務ではありません。
その為、不況で業績が悪化しボーナス支払いが減額又はカットされる可能性は、誰にでもあると言えます。
特にサービス業などの不況の影響を受けやすい仕事をしている場合には、ボーナス併用払いは向いていないと言えます。
住宅ローン以外にもボーナス併用払いをしている
住宅ローン以外にも、家電や車などでボーナス併用払いをしている人は、ボーナス併用払いに向いていないと言えます。
ボーナスカットや減額になった時に、住宅ローンと他のローンの返済の両方に対応する必要があるためです。
貯蓄が少なかったり苦手な人
ボーナス併用払いを選択し、万が一ボーナスの減額やカットになった場合には、取り急ぎ貯蓄でやりくりをする必要があります。
その為、貯蓄が少ない人や苦手な人には、ボーナス併用払いは向いていないと言えます。
そもそも貯蓄に対応できない性格の人は、リスキーなボーナス併用払いについて、選択するべきではないとも言えます。
まとめ
住宅ローンをボーナス併用払いにするか否かと考えている人は、自分の状況や性格を考えてから決めると良いでしょう。
金融機関によっては「ボーナス併用払いにすると、月の金額が抑えられるので楽です」と言ってくるかもしれませんが、それをそのまま鵜呑みにしてはいけません。
ボーナス併用払いをしたい場合には、リスクも考えたうえで選択しましょう。
万が一対応できなくなった際には、早めに住宅ローンを借りた金融機関や専門家に相談すると良いと言えます。