人生で一番高い買い物といわれる住宅取得費。 理想の住宅を取得しても、住宅ローンの返済が上手くいかなければ生活をしていけなくなることもあります。
住宅ローンを無理なく返済していくには、どのような資金計画を立てればいいのか、活用できる住宅取得に関する制度はあるのかなどをみていきましょう。
もくじ
住宅ローンの返済は借り入れ前に気を付けておくと楽になる
住宅の購入は高額になるケースが多く、借入期間が長くなるのが一般的です。
契約が進めば金融機関等とのやり取りも増えることになります。
住宅ローンに対する正しい知識を事前に持つことで、契約段階で不明な点を解消できたり、担当者の話について理解を深めたりすることができます。
住宅ローンの融資契約前であれば、無理なく返済できる方法はいくつもありますので、確認していきましょう。
住宅ローンを無理なく返済するためにやっておくべきこと
住宅を購入し、住宅ローンを組んで返済をしていくためには、しっかりと資金計画を立てることが重要です。
理想の物件を見つけても、計画が上手くいかなければ購入することはできませんし、仮に購入できたとしても想定外の支出で住宅ローンの返済ができなくなることも考えられます。
ここでは住宅ローンを無理なく返済するために必要な6つのポイントを解説していきます。
資金計画を立てる
住宅ローンの返済は約30年と続くケースが多く、現在の収入だけではなく、将来の収入・支出を考慮した資金計画を立てる必要があります。
また、マンションを購入した場合は、住宅ローン返済以外に管理費や修繕積立金、駐車場料金などの費用もあります。
毎月の返済額を決めるときに用いるのが返済負担率です。
これは年収に対する住宅ローンの返済割合のことで、年収500万円で年間の返済額が100万円なら返済負担率は20%、年間返済額が120万円なら24%になります。
一般に返済負担率は家計の状況にもよりますが25%に抑えておくことが無難といわれています。
住宅ローンは年に2回、ボーナス月に返済額を増やすことができます。
ボーナス時、加算額を設定すると、借入額を増やすことができますが、ボーナス支給額は会社の業績、景気にも左右されますので、加算額を増やしすぎると、ボーナスが想定より少なかった場合に支払いが厳しくなる可能性があります。
返済期間が長くなれば、それだけ金利の負担が大きくなります。
また、定年退職後に住宅ローンが残っていると心配な場合は、返済期間を定年退職前までにするか、一部繰り上げ返済をして返済を短縮するのも良いでしょう。
返済期間は通常は35年返済までで、フラット35の場合は15年から1年単位、民間ローンの場合は1年以上から設定することができます。
住宅ローンには大きく分けて固定金利型と変動金利型があります。
住宅ローン申込時の金利だけで決めるのではなく、返済中の金利の変化を考えることが大切です。
住宅ローンの借入金額が大きいほど、金利1%の違いで最終的な支払総額が大きく変わりますので、金利上昇によりどの程度返済額が増え、家計に影響するか確認しておくといいでしょう。
借入金額を少なくする(住宅の規模を再検討する)
ライフプランを元に住宅ローンを考えることが重要です。
住宅購入以外にも、出産、子育て、進学、結婚、定年退職、老後の生活、介護といったライフイベントでも大きな支出があります。
せっかくの住宅取得も住宅ローンで生活資金が苦しくなり、ライフイベントが達成できなくなれば意味がありません。
家族構成、生活プランに見合った返済額を考える必要があるでしょう。
そのためには、家族で将来について話し合い、家計を見直して、住宅ローンにどれだけのお金をかけることができるのかを検討することが大切です。
返済期間を短くする
住宅ローンは借入金額が高額になるケースが多く、返済期間が長くなれば、それだけ金利の負担が大きくなります。
返済期間が長期になるので、途中で金利が変化することを考える必要があります。
金利が下がった場合には、返済額が減るので問題はありませんが、上がった場合は返済額が増えることになり、余裕のない返済計画ではローン破綻になりかねません。
低金利時代の現在において、金利が下がることより、金利上が上昇する可能性の方が高いと考えられます。
返済期間中は金利が低く設定されているうちに返済をするのが効果的です。
親からの支援を受けられないか確認する
一般に住宅購入は人生で一番高い買い物といわれています。
住宅金融支援機構の2023年フラット35利用者調査によると、注文住宅の取得費用は4,694万円となっており、自分ですべて用意するのは難しいと感じる人もいらっしゃるでしょう。 ここでは両親から支援を受けることができる場合に使える制度をまとめていきます。
令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により自己の居住用住宅を取得した場合に、一定の要件を満たすときは非課税限度額まで贈与税が非課税になる制度です。
たとえば1,000万円の贈与を受けた場合、「(1,000万-110万)×20%-30万=148万円(特例税率)」と148万円の贈与税を支払うことになります。
しかしこの制度を活用することで、令和2年に契約を締結した住宅なら省エネ住宅で1,500万円、それ以外の住宅なら1,000万円まで贈与税が非課税となります。税負担がなくなれば、その分を住宅資金に回すことも可能です。
贈与税の年間基礎控除額を利用する
年間110万円までの贈与は非課税なので、高額な贈与は受けられないが、多少なりとも支援してもらった場合に活用することができ、住宅ローンの利用が円滑に進みます。
年間110万円の基礎控除を利用する場合には、親子間で贈与契約を結び、子が所有する銀行口座に振り込むなど、記録が残る方法で贈与するようにしましょう。
特に複数年に渡って110万円以内の贈与をする場合には注意が必要です。
収入の割に高額な住宅を購入した場合には、税務署から住宅購入の「お尋ね」がくることがあり、場合によっては一括で贈与したものとみなされるケースもあります。
二世帯住宅なら親子リレーローン、親子ペアローンを活用
二世帯住宅なら親子リレーローン、親子ペアローンを活用
二世帯住宅で親と同居する場合は、将来的に子が住宅ローンを引き継ぐ親子リレーローンや親子ペアでローンを組み返済していく方法を利用すれば、住宅ローンの負担を分散することができます。
頭金を準備する
住宅を購入するにあたって、購入代金に占める自己資金の割合は、20%~30%以上が望ましいといわれていますが、実際には多くの住宅ローン商品で物件価格の100%を融資してもらうことが可能です。
物件価格だけでなく諸費用や引越費用も住宅ローンに含めることができる金融機関もありますので、利用しやすくなっている反面、借入金額が増えてしまう可能性もあります。
中高齢でのリストラ、収入の伸び悩み、教育費の負担、年金制度の変更といった漠然とした不安を感じていらっしゃる人もいるでしょう。
借入額を少なくした方が返済負担は軽減することができます。将来の返済負担を減らすために、少しは頭金を準備しておいた方がいいでしょう。
金利の低い金融機関を探す
住宅ローンは返済が長期に渡るため、金利差は返済額に大きく影響します。
できるだけ低い金利の融資を利用することがポイントです。 現在のように低金利の場合には、固定金利を選択する方が安全であり、将来金利が上昇した場合に備えてリスクを回避することになります。
しかし、金利は上がらないこともありますので、変動金利型、固定金利選択型などを組み合わせて考えるのも一つの方法です。
住宅ローンの金利比較をできるサイト等は多くありますので、シミュレーションを何回か行い、借入先を比較検討することが大切です。
住宅ローン返済中でも負担を減らすことができる
手元資金に余裕があれば、一部繰上返済を行うことで、返済期間を短縮したり、返済額を軽減したりすることができます。
また住宅ローンの借り換えを行うことで、より低金利の金融機関を利用することもできます。
先にも述べましたが、住宅ローンは長期間の返済になることが多く、金利が少し違うだけで総返済額が大きく変わりますので、借り換えによる返済額の軽減効果は大きくなります。
住宅ローンの返済中に収入が減ったり、子どもの進学による教育費、入院による医療費などにより一時的に年間支出の増加が見込まれたりする場合、なるべく早く金融機関に連絡し、返済額の見直しについて相談しましょう。
住宅ローンを返済中は一定の要件を満たせば、住宅借入金等特別控除を利用することができます。
住宅ローン控除とよばれている制度です。
最大で13年間、一定額を所得税額から差し引くことができ、支払った所得税が戻ってきます。
控除しきれなった分は翌年度の住民税から差し引かれます。
まとめ
住宅ローンを無理なく返済するためのポイントを解説してきました。
資金計画、返済計画をしっかりと立て、住宅取得に有利になる制度を上手く活用して、自分のライフプランに合った住宅を取得する参考にしていただければ幸いです。